2008年の個展から約5年ぶりの展覧会。 前回の展示より本格的で、コントラストの強い粗い白黒写真という統一感はあるとはいえ、作風の多様性というか変遷も伺えるような内容だった。
代表作と言われる「死がやってきておまえの目を奪うだろう」 (Verrà la morte e avrà i tuoi occhi, 1954-68; 通称「ホスピス」) や 「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」 (Io non ho mani che mi accarezzino il volto, 1961-1963; 通称「神学生」) が比較的初期にあたるもので、 1970年代以降、風景や建物をテクスチャのように撮る作品が中心となる。 そんなグラフィック的な作品の方が好みだということを確認できた展覧会だった。
また、ちょうど作風が変化する頃に、 「男、女、愛」 (Un uomo, una donna, un amore, 1960-1961) という 題材もロマンチックでまるで映画のスチルのようなシリーズを撮っていたことに気づかされた。 意外だったし、良いとも思わなかったけれども、 Giacomelli もこういう方向性の試行錯誤をした時があったのか、と。
戦後1960年代までのミッドセンチュリー・モダン期に アメリカの Harper's Bazar や Vogue など雑誌のファッション写真で知られる 写真家 Ervin Blumenfeld の展覧会。 戦後のファッション写真よりも、 アメリカ亡命前、戦間期のオランダでの Dada と交流があった頃の資料がもっと観られるかと 期待したのだが、あまり観られなかったのは残念。 しかし、ディストーションやソラリゼーションのような戦間期の実験が 戦後のファッション写真にどう生かされていったのか、 直接的な系譜を観るような所があり、単なるファッション写真展以上の興味深さはあった。
幕末から明治にかけての日本写真の黎明期の調査結果を報告する展覧会の北海道・東北編。 他にくらべ風景写真や近代的施設の記録写真が多かったり、 写ってる街並みに古ぼけた木造の家か少なく近代的だったり、 明治以降に開拓された地域なんだと感じさせる写真が目立った。 あと、特別展示されていた磐梯山噴火、庄内地震、明治三陸津波の 災害記録写真が、東日本大震災を連想させる生々しさもあり、 見応えあった。