白金というか古川沿の四の橋近くにあるアートギャラリーの集まるビル、白金アートコンプレックス。 その5周年を記念する展覧会は、森美術館10周年企画展に呼応して、キュレータ (窮霊汰) として杉本 博司 を招いての企画だ。
白金アートコンプレックスに足を運ぶのも久しぶりだったが、 2000年代以降のハコという程度の印象だったので、まだ5年しか経っていなかったのかと。 企画の鍵となる 吉永 小百合 主演映画 『愛と死を見つめて』 (1964) (5Fの 新素材研究所 で上映されていた) と 展覧会全体、特に杉本の言う「劣情表現」相当作品の関係にピンとくることは無かった。 しかし、そんな中では 高嶺 格 の作品が印象に残った。
高嶺 格 「水位と体内音」 (2004) は、 平面方向が扇型の水槽の外周にあたる曲面をスクリーンに、 水中を裸で泳ぐ女性の映像を水槽越しに投影した作品。 裸体の全体が映ることがないうえ、像も粗めで、 適度に抽象化されら有機的な物体の動きに見えるのが良かった。 また、水槽の水もチンダル現象が生じる程度に微かに濁っており、 正面から観ると幻想的な残像が伴っているよう。 また、横から見ると、微かな光の筒が伸縮するよう。 そんな像の見え方も面白かった。