ここ数年、大阪中之島の再開発が進んでいて、行くたびにこぎれいなスポットができているという感があります。 堂島リバーフォーラムもその一つ。 中之島から川を挟んで北側に再開発で出来た2008年オープンの多目的ホールです。 『堂島リバービエンナーレ』はここを会場にして翌2009年に始まった国際美術展です。 初回は、森美術館館長の 南條 史生 をアートディレクターに、 Singapore Biennale のダイジェストのような形で開催されました。 第1回はもちろん、第2回 (2011) もウェブサイト等の情報の限りそれなりに派手な企画をしているように見えてはいましたが、 行くタイミングが合わず、今回初めて様子を覗いてくることができました。
今回のアーティスティックディレクター Rudy Tseng は台湾のコレクターということで、 やはり、主にアジアの現代美術作家が多くを占めていました。 テーマは「水の意味」で、水に関する作品を緩く集めたというところ。 前二回に比べて、アーティストのラインナップも水というテーマも少々地味かしらん、と。 この展覧会のために作られた作品もありましたが、そうでないものの方が多勢。 規模的にも国際企画展という程ではなくて、現代美術館での企画展に近いものでした。 新設の多目的ホールということで、美術館ほどニュートラルでもなければ、古い建築の空きスペースのような趣もなく、半端な雰囲気。 自分の気分的な問題もあるかもしれませんが、見ていても上滑りしてしまうようでした。
そんな中では、ヘッドホンをして机下にしゃがむと波音が水中音に変わる 八木 良太 「机の下の海」 (2010年) は、シンプルかつ意外な形で水を感じさせてくれました。 以前にも似たような作品を観たことがあるのですが、 ギャラリーの壁の三面と床をフルに使った水の流れや撥ねを感じるドローイングを コマ撮りアニメーションにした 石田 尚志 「海の壁」 も、 フィルム映写機の視界に入れてメタな視線も含め 判り易い海の風景ではなく抽象的なイメージとしてをアニメーション化している所が、気に入りました。