街中を移動しながらパフォーミングアーツと音楽のセッションを観て歩くという形式のフェスティバル LAND FES。 第1回は2012/04/13,14に、第2回は2012/08/02-05に、共に吉祥寺を会場に開催されています。 1年ぶりに第3回は吉祥寺を離れて西小山で。 以前から少々気になっていたものの見逃していたのですが、 西小山という場所も面白そうということで、会期4日間の3日目に足を運んでみました。 隣の武蔵小山に比べてこぢんまり、立会川沿いの下町っぽさもある、地元相手の店が並ぶ、私鉄急行通過駅の駅前商店街です。
受付となっていたバー 西小山ラウンジ 前の辻で、パフォーマンス開始。 ジャンベを叩きながら歩いて来る人を見ているうちに、 いつのまにか、白のランニングにロングのニッカボッカにタオル巻きという 土木作業員を脱色したような服装の 金野 泰史 が辻に立ち、 舞踏がかったストリートダンスとでもいうものを踊り出しました。 路上で踊るということは予想していましたが、まさかこういうスタイルでくるとは意表を付かれました。
そのまま、商店街を踊りつつ100mほど駅の方へ移動して、 そこから2回の沖縄料理居酒屋 ばしゃやま亭 へ。 恥骨 即興演奏に合わせての、岩下 徹 の舞踏。 今度は、薄暗い居酒屋に詰め込まれて、いかにもアングラな雰囲気へ。 正直、この辺りまでは自分も様子見気分で、これはハズしたかもしれないと半ば思いつつ観ていました。
そのまま、岩下 に導かれて駅の反対側へ。スタート地点を通過して、200m程進み、 商店街のキャラクタ着ぐるみやイベント用看板等が置かれた倉庫として使われている空き店舗へ。 最初は澄んだギターを響かせる 坂ノ下 しか見えませんでしたが、 置かれた物の中から 永井 が現れて踊り出しました。 最初はシャッターを下ろした状態で、またこの狭く暗いなかで観つづけるのかな、と思いきや、 途中でシャッターが空いて明るい状態へ。 上本 の動きは 永井 をサポートするようで付かず離れずという微妙な距離感。 舞踏とは違う動きの AAPA が良い変化になりました。
その後は、AAPA の2人に導かれて商店街を駅の方へ150m程。 商店街中程にある中央百貨店という築四、五十年は経ってそうな複合店鋪住居ビルの屋上へ。 蜂谷 真紀 のヴォイス、鍵盤ハーモニカと Pearl Alexander のベースの即興を伴奏に、 石井 則仁 の舞踏的な踊りを。 途中で観客を一部を背景に疎に立たせるなどの軽い客弄りはするものの、 屋上に打ち捨てられた瓦礫と夕空を借景して、舞台的なパフォーマンスで綺麗にまとめました。
最後まで観た後では、最初のストリート的な演出も導入として納得。 白塗りではないものの全体として舞踏的なイデオムが強い所に、 AAPAが3番目に入っている所が「転」として効いていました。 4つのパフォーマンスのオムニバスというより、緩い展開を持って繋がっているよう。 個々のダンスや演奏を味わった、もしくは、凄いものを観たというより、 日常の俗っぽい場から、移動しながら観て行くうちに、別世界へ連れていかれるかのよう。 そんな雰囲気が緩いながらも楽しめた一連のパフォーマンスでした。