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Review: 『チェコの映画ポスター--テリー・ポスター・コレクションより』 @ 東京国立近代美術館フィルムセンター展示室 (デザイン展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2013/11/24
Czech Posters for Films -- From the Collection of Terry Posters
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室
2013/08/28-12/01 (月休; 9/16-9/26休), 11:00-18:30

プラハ (Praha, CZ) の映画ポスター専門ギャラリー Terry Posters のコレクションに基づく、チェコスロバキアで制作された映画ポスターの展覧会。 1958年から1989年までのポスターが出展されていたが、 1960年代後半から1970年代前半にかけてものもが7割方を占めていた。 また、チェコスロバキア映画のもの17点、日本映画ものもが15点、その他の世界各国の映画が50点という構成。 共産主義時代は国外の映画配給も国の管理下だったため、ポスターもチェコスロバキア独自のものが制作されたという。

日本の戦後の時代劇映画や特撮映画や 1960sの Nouvelle Vague 映画などのイメージが意外な形に解釈されているの見る面白さもあった。 しかし、やはり面白かったのはデザインそのもの。 同時代のポーランドのポスターとも共通するいかにも東欧シュールレアリズムなグラフィック・デザインなのだが、 1970年前後のポスターが中心という事もあり、 当時の西側で流行したカウンターカルチャー/サイケデリックなデザイン・テイストもあり、 東欧シュールレアリズムとサイゲデリックの親和性を感じた。 2000年代以降発掘が進む旧共産圏 Rare Groove のビジュアル版のよう。 このような1960s末〜1970sの西欧のテイストは意外に東側へも入り込んでいたのだな、と感慨深いものがあった。

ところで、このコレクションを持つ Terry Posters は、似たようなデザインの傾向を持つ、ポーランドとチェコスロバキアの映画ポスターを比較する展覧会 Confrontation - Czechoslovak and Polish film poster という展覧会を昨年開催していた。 『チェコの映画ポスター』展会場でその展覧会カタログも売られているということで、 それを楽しみにしていたのだが、会期末近かったこともあって、既に売切だった。残念。