ダウン症候群等で知的障害を持つ俳優と作品を制作し続けているオーストラリアの劇団による作品。 といっても、障害者の社会的包摂を主目的としたコミュニティ・アート的なものではなく、 質の高い作品作りを目指しているという。ということで、どんなものかと観てきました。 出演者全員障害者ではなく、2人の健常者を交えての上演でした。 ドイツ第三帝国にハーケンクロイツとして奪われたシンボル「卍 (スワスティカ)」を取り返しに 行くヒンズーの神ガネーシャの冒険譚という劇中劇に、 その作品の制作過程というメタフィクション的構造を持たせたもの。 確かに、その佇まいや身のこなしには特徴的なものがあってその印象は強いものの、 やはり身体表現というよりセリフで進める演劇ということで、観ていて少々辛い所も。 あえて制作過程を表出する必然性が感じられず、 劇中劇でのビニールシートをを使った奥行き感のある影絵のような映像的な演出など悪くなかったので、 劇中劇だけで作品にした方が良かったのではないかな、と思ったりしました。