ハリウッドに呼ばれたスウェーデンの巨匠監督がハリウッドに呼ばれて撮った Lillian Gish 主演作。 ウェスト・バージニアから従兄を頼って砂嵐吹きすさぶ西部 (Sweetwater, TX) に越してきた Letty が、 従兄の妻の嫉妬で居場所を失い、あてにしていた男に騙され、生きるために従兄の近くに住む Lige と形だけの結婚をする。 Lige は Letty の気持ちを汲んで、東部へ帰してやる金策のため Letty を家に置いて野生の馬の群れを捕まえに行く。 残された Letty は砂嵐の恐怖や騙された男の影に狂わんばかりだったが、 Lige が戻ったとき、彼への愛に気付き、ここに残る決心をするという。 そんなロマンティックな劇映画です。
1910年代後半のD. W. Griffith 監督作以外の Gish を観たのは初めてですが、 それから10年近く経ったこの時期でもまだ可憐なのに驚きました。 もう少し大人っぽい女性を演じているのかな、と、予想していたのですが。 形だけの結婚をして Lige の家で暮らすようになってからも、 街の娘のような可愛らしい靴を履いていたのが、印象に残りました。
風吹きすさぶ半砂漠なプレーリーのダイナミックな映像化は、いかにもアメリカ映画。 しかし、風自体の表現より、後半 Gish 演じる主人公が不安に苛まれそうになってから、 ポルターガイストのようにガタガタいう室内に揺れる主観視線カメラに、 David Lynch 的な表現はこの頃からあったのか、と。
この上映は 『トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2014』内の企画として、 柳下 美恵 のピアノ伴奏付きで行われました。 砂嵐やそれに苛まれる主人公の不安を表現するためか、いつもより内部奏法が多めに聞こえました。 それも効果的だったかもしれません。