TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: ながめくらしつ 『おいていったもの』 @ 現代座ホール (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/04/14
『おいていったもの』
現代座ホール
2014/4/12, 18:00-19:30.
演出・振付: 目黒 陽介. 音楽: 坂本 弘道.
出演: 目黒 陽介 (juggling), 宮野 玲 (juggling), 長谷川 愛美 (aerial, dance), バーバラ 村田 (mime, dance), 坂本 弘道 (cello, musical saw, electronics)

ながめくらしつ は ジャグラーの 目黒 陽介 が2008年に結成したジャグリングを中心としたショーを作るカンパニー。 生演奏を使い現代的な演出をしているということで気になっていたのだが、足を運ぶ機会が無かった。 『100年サーカス』 (瀬戸内サーカスファクトリー, 2012) の演出を目黒が手掛け (観には行かれなかったが)、 今回の公演でもジャグラーを2名に絞りエアリアルやマイムのパフォーマーを加えており、 より現代サーカス的な舞台となっているのではという期待もあって、 二年ぶりという新作公演に足を運んでみた。

約1時間半の演技を繋ぐ物語的な要素はほとんど無く、衣裳、小道具、背景も色彩を抑えたモノトーンでミニマルな舞台。 黒いシルクや白いリングなどをキー・フィギュアをして使い、それを通してパフォーマンスを構成していた。 最初のうちは思わせぶりな雰囲気だけかもと思いつつ観ていたのだが、 長谷川の白いリングのエアリアルと宮野の白いリングのジャグリングを組み合わせたパフォーマンスで、 ぐっと世界に引き込まれた。 続いて、リング繋がりで、椅子に座った村田に様々な大きなのリングを掛けつつ、 目黒がリングを組んで様々な造形を見せて行く。 続いて、床に散らばったリングを散らばらせて弄ぶような場面で緩め、 さらにリングのジャグリングのきりっとしたソロで締める。 この一連のリングを使った流れでの、技巧を派手に見せ付けるというより、 黒い背景に映える白いリングのイメージを多様に展開して見せていくよう。 オープニングでの横に引かれた黒のシルクもその時はピンとこなかったのだが、 エンディングの黒のシルクのエアリアルを観て、ショーの始終を押えるものだったのか、と。

坂本 弘道 の音楽も、キャッチのある判り易いメロディを弾くようなものではなく、 electronics のノイズも多用し、即興的な要素の強い抽象的なもの。 それが、比較的物語性の薄いリングなどの形に発想した構成に合っていた。

そんな洗練された演出をされたパフォーマンスを楽しんだのだが、 物足りなく感じた所を挙げれば、奥行き方向の動きや奥行きを感じさせるような照明演出に乏しかったこと。 横と高さばかりで空間を感じられず、パフォーマンスが作りだすイメージがのっぺり平面的になってしまっていた。 これは、現代座ホールの奥行きの浅い舞台の制約のせいかもしれない。 そういう点でも、奥行きのある舞台のあるちゃんとした劇場での公演を観て観たいと思わせるパフォーマンスだった。