Cie L'Immédiat はサーカス学校 Académie Fratellini 出身の Camille Boitel が2002年に設立したフランスのサーカスカンバニー。 そのカンパニー名と同じタイトルの作品は、 廃材や粗大ゴミからペットボトルのような小さなゴミまで、様々なガラクタの山の中で アクロバティックかつマジカルに繰り広げられる、不条理でシュールなイメージを作り出すパフォーマンス。 バックグラウンドにサーカスがあるものの、あからさまにサーカスの技を見せつけるような場面は無く、 マイム、アクロバットに早変わりや人体交換のようなマジックの技を駆使したフィジカル・シアターだった。
冒頭の場面は、様々なガラクタが積み上げられた舞台と、その最も手前に作られたみすぼらしい小部屋のセット。 そこに、部屋の主とおぼしき女性が帰ってきてベッドで寝ていた男性が入れ替わり出て行こうとするのだが、 彼らは手元足元も怪しく何かする度に何かが崩れ落ちていく。そしてその崩壊は舞台全体に及んでいく。 そんな様子を滑稽さを狙わずに淡々と展開していく様に、不条理なユーモアを感じた。 舞台が大変になったので一旦休憩、と言って、片付けを始めるのだが、 がらくたを整然と整理するのではなく、レーキ (とんぼ) などを使って乱雑に舞台端に寄せるだけ。 笑ながら、しかし、次の回で復元するのが大変そうと心配になりながら、その様を観ていた。
そんな冒頭の場面のインパクトが強過ぎて、後の場面が霞んでしまったのも確か。 黒い幕を何層にも並べてガラクタ家具を使った人体交換していく場面や、 ロープやつっかえ棒、黒子役のパフォーマーも駆使して重力方向が傾いた様を演ずる場面も、 その超現実的な不条理なイメージを楽しんだけれども。 最初のインパクトを越えなかった所が少々物足りなく感じた作品だった。
この公演は TACT/FESTIVAL 2014 のプログラムの一つとして開催された。 フライヤ等で「子供はもちろん、大人でも十分に楽しめる上質な海外招聘公演」と謳っているが、 むしろ、「大人向けだが子供にも十分に楽しめると舞台」と言っていいかもしれない。