TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 『映画をめぐる美術——マルセル・ブロータースから始める』 @ 東京国立近代美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/05/19
『映画をめぐる美術——マルセル・ブロータースから始める』
Reading Cinema, Finding Words: Art after Marcel Broodthaers
東京国立近代美術館
2014/04/22-2014/06/01 (月休;5/6開,5/7休), 10:00-17:00 (金10:00-20:00)
Eric Baudelaire, Marcel Broodthaers, Dominique Gonzalez-Foerster, Pierre Huyghe, Isaac Julien, Anri Sala, Cindy Sherman, Dayanita Singh, 田中 功起 [Koki Tanaka], Ana Torfs, やなぎみわ [Miwa Yanagi], Ming Wong, Akram Zaatari].

戦後から1970sにかけて活動したベルギーの詩人、映画作家にして美術作家の Marcel Broodthaers が 1957年及び1967年以降に制作した短編映画作品を鍵に構成した現代美術展。

Marcel Broodthears のコンセプチャルな短編映画作品6本を中央のギャラリーでフィルム映写機で上映し、 6つの「映画館」の入口が設けられ、袋小路状のギャラリーに映画を主題 にしたり映像を用いた作品が展示されていた。 フィルムの画質感にビデオアート以前の映像を使った美術という味わいを感じましたし、 コンセプチャルな会場構成も頑張っているなとは思ったものの、 そのコンセプトが琴線に触れることはありませんでした。

Broodthears の作品も含め、展示されていた 作家性や作品性、映画を巡る諸制度などはメタな視点で図式化して作品として示すような作品は、 若干の退屈を覚えた所もありました。 しかし、Cindy Sherman の Untitled Film Stills (1977-1980) は シミュレーショニズムの古典的な味わいがありましたし、 Joan d'Arc の裁判の場面を映像化した Ana Torfs: Du mentir-faux (2000) も、顔だけ写した映像と字幕からなるミニマリズムの美しさを感じました。 そういう点でも Theater 1 が最も楽しめました。