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Review: Fuerza Bruta @ 赤坂サカス広場特設テント (エンターテインメント)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/06/08
赤坂サカス広場 特設テント
2014/06/08, 19:30-20:40.
Diqui James (Autor / Director Artístico), Gaby Kerpel (Director Musical / Compositor), Fabio D'Aquila (Coordinador General), Alejandro Garcia (Director técnico).
World Premier: Buenos Aires: Mayo 2005.

Fuerza Bruta はアルゼンチンはブエノスアイレスの制作チームによるエンターテインメント・ショー。 2001年に Villa Villa 『ビーシャビーシャ』を制作した De La Guarda が母体となっていて、 2005年のブエノスアイレスに始まり世界各地で公演しています。 2003年の Villa Villa 日本公演は観ませんでしたが、 メインストリームのショーを観ておくのも良いだろうという気分もあって、今回は足を運んでみました。 オールスタンディングの大きめのライブハウスかクラブのような会場で、 打楽器の生演奏やDJプレイに、ダンスやサーカスアクトのショーを組み合わせたような内容でした。 じっくり演技や演出を味わせるというより、大音響やストロボライト、霧や水を多用した派手な演出で非日常に導き、驚かせ楽しませるようなショーでした。

ランニングマシンのように動くステージの上で早足で歩いたり走ったりしているパフォーマーが ダンボール箱製の障害物を突き破ったり、階段を登って飛び降りたり。 高い天井から垂らしたシルバーのスクリーンの上でワイヤー釣りになったパフォーマーが ヴァーティカル・ダンス (垂直に立った壁面などの床に見立てたダンス) を繰り広げたり。 打楽器の生演奏やDJが表に出てくる場面もあるのですが、 生演奏に合わせてダンスやサーカスアクトを見せるような場面はありませんでした。

一番の見所は、天井から吊るした10m四方はあろう透明なシート張りのプールを使ったパフォーマンス。 数センチの薄く張られた水の中で4人の女性ダンサーが、体を両生類のようにくねらせたり、フライングボディアタックのように激しく体を底のシートに叩きつけたり。 プールも、10m近い高さにあると思えば、手に届く低さまで迫ってきたり、水平を保つだけでなく傾いて水の流れを作り出したりと、変化を付けられていました。 人の動きとと水の流れ、波紋、そして照明によって作り出される色と形と動きは、 それを見上げるように観るということもあって、普段見慣れない面白さがありました。

観客に霧を浴びせるのは当然、最後にはフロア中央は水のシャワーで、びしょ濡れになる観客も。 もちろん、それも覚悟で観に行きましたが。 客弄りをする場面もあって、観客を促すようダンサーがフロアに下りて踊るだけでなく、 頭上から振ってくる段ボール箱を突き破る場面では、観客をステージに上げたりもしました。 というか、ダンサーの踊りに合わせて一緒に踊ったらダンサーに気に入られてしまい、 ステージに上げられパフォーマーたちと一緒に段ボール箱を突き破る側にいました。 そんなわけで、観客側からどう見えていたのかはよくわかりません。 このようなパフォーマンスは冷静に観ているより 客弄りに乗って一緒になって踊ったりパフォーマンスした方が楽しいので、それはそれでいいのですが。

そんなわけで、良く出来た参加型の大人向けエンターテイメントを堪能したのでした。 正直に言えば、インパクト勝負ならではの内容の薄さや、 音楽が Gaby Kerpel と期待したこともあり繊細さに欠ける音使いを、若干物足りなく感じた時もありましたが、 そもそもそんなことを求めるようなパフォーマンスでも無いでしょうし。 こういうのを体験するのもたまにはいいかもしれないと思える程度、楽しむことが出来ました。

会場内はフラッシュは禁止なものの撮影可だったのですが、デジカメを持って行かなかったのは失敗。 さらに、昼の間に iPhone のバッテリーも使い果たしてしまい、iPad mini しか撮れるものがありませんでした。 常に手に持っているわけにもいかず、あまり撮ることができなかったのは、残念。