1988年設立のイギリス・ミッドランド地方ウォリックシャー (Warwickshire) を拠点とする Motionhouse は、 アクロバットやサーカスの技に重機を使った Machine Dance シリーズなどの野外作品で知られるカンパニーだ。 その初来日公演は劇場向けの作品だったが、劇場ではどんなパフォーマンスを見せるのか、その興味もあって足を運んでみた。
舞台には、高さ4m幅10m程のスケートボードやローラースケートでいう所の “vertical quarter pipe” のような台 (上端が垂直に立ち根元は大きなアールで床面と滑らかに連続している台) をステージに置き、 それを背景映像スクリーンかつダンスパフォーマンス用のステージとして使い、パフォーマンスを繰り広げた。 床面と背景の壁面の連続性を生かし、いわゆる “vertical dance” (ワイヤーで体を吊って垂直に立った面を床面に見立ててのダンス) の技も利用して、 垂直面の動きと水平面の動きを連続的に組み合わせるアイデアは、良いと思った。
しかし、1時間余りメリハリが感じられず、集中が続かなかったのも確か。 映像も駆使した演出で、水にをテーマにした映像もダンサーの動きに合わせてある (例えば、ダンサーが壁面に駆け登るとその場所に水飛沫が上がる) のだが、 ほぼ常に映像が投影されているので、次第にそれが説明的に感じられて鬱陶しくなってしまった。 また、テクノ/ドラムンベース的なビートのインストゥルメンタルのロックが音楽として使われていたが、 そのビート感も緩急に乏しかったこともあるかもしれない。 野外ではうるさ過ぎるくらいの判り易さで丁度いいのかもしれないが、 劇場ではもっと繊細に起伏を持たせた演出の方が方が良いのかもしれない。
日本まで持ってくるのも予算的会場的に難しいだろうとは思うけれども、 大きな足場を組んでプロジェクションマッピングの中でパフォーマンスを繰り広げる The Voyage (2012) や、 Traction (2011) や Waiting Game (2011) の ような Machine Dance シリーズのような野外作品を、 やっぱり観たかったと、つくづく思った舞台だった。