国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟における「文化・人文社会科学パイロットミッション」 のような宇宙を舞台とした文化芸術活動のドキュメントから、宇宙に触発された美術作品、 さらに宇宙で収録制作された広告まで、幅広く集めた展覧会でした。 全体の印象が散漫でもう少し絞った方が面白くなった気もしますが、 「宇宙アート」と言ってもいろいろなパターンがありうるということを知るという意味では勉強になったでしょうか。
夏休みの子供向け企画自体は今までもありましたが、 ベビーカー置場やおむつ替えコーナーまで完備した徹底した展覧会は、ちょっと珍しいかも。そこが一番新鮮に感じた所でした。 武藤 亜希子 のソフト・スカラプチャーや 船井 美佐 の草木を動物などを象った平面を構成したインスタレーションなど、 子供のプレイランドとしてもいい感じに機能していました。 写真撮影可だったのですが、子供が写らないよう写真を撮るのが難しい程。 何回か観たことある作品ですが、クワクボリョウタ 「10番目の感傷(点・線・面)」が 調整中で動いていなかったのが、少々残念。
実は、今回、東京都現代美術館へ行った一番の目的。 1995年というのは東京都現代美術館が開館した年で、現在に連なる現代美術の企画画廊やオルタナティヴスペースが揃いだした頃であり、 戦後50周年で経済成長期からバブル崩壊後の長期デフレ期へ日本社会が大きく変わった、 という意味でも、区切りとしては絶妙な展覧会でした。 個人的にも1995年というのは就職して数年経ち余裕ができて展覧会やアートイベントに行く頻度が上がった頃。 好き嫌いは別にしてリアルタイムで観てきた作品が多く、懐かしいものがありました。 大まかにいえば、前半の3階の展示が胎動期ともいえる1990年代の動き、 後半の1階が2000年代の世間での認知度が上がってから、という感で、 やはり前半の頃は良かったなあ、なんて思ってしまったり。 自分は好きだったけれどもここに残らなかった作家や作品に思いを馳せたり(遠い目)。
東京都現代美術館開館は1995年3月18日で、その週末明けの月曜3月20日に地下鉄サリン事件。 年度末のケリがついた翌週末か4月にさっそく、当時住んでいた馬込から自転車で都心を横切って東京都現代美術館へ行った時、 都心の警備がやたら厳しくて職質されたりした、なんてことも思い出しました。