土曜は朝から阿佐ヶ谷へ。2週間前に続いてラピュタ阿佐ヶ谷で 『戦前日本SF映画小回顧』 を観てきました。
まずは、大阪芸術大学助成による玩具映画プロジェクトが収集復元した玩具映画の中から、 「火星飛行」、「探偵ターチャン殺人電波」、「正ちゃんの動物地獄」、「快傑たか」、「夢現三百年往来」、「忍術真田十勇士」、「忍術大進軍」。 それぞれ数分の短い映画で、 特撮の走りのような編集も入った忍術剣法実写物や、宇宙旅行物のSF的な筋を持ったアニメーションなど。 数分で終わるうえ、低予算ということもあってか、話は飛躍があったりたわいなかたったり。 当時、こういう物も作られていたのかという、資料的な興味が先に立つものでした。
メインはこの中編。
奥秩父に登山に来た若いカップルが山賊に襲われるのですが、女性 (松風 千枝子) は、山中にマタギのように暮らす一家に助けられ、その兄弟と心を通わせます。 しかし、山賊たちとの戦いの中で兄は斃れ、その女性は助けに来た都会の仲間や村人たちと帰ってしまう、という話。 見所の一つはアクションシーンですが、『争闘阿修羅街』程ではないでしょうか。 むしろ、松風 千枝子 演じるモダンなお嬢さんに寄せる山男兄弟の好意と身分違い的な越え難さ、 そして、最後には東京に出て行こうという話に、メロドラマ的な感傷も感じました。
兄弟は「類猿人」という設定で『類猿人ターザン』 (Tarzan the Ape Man, 1932) を意識したのかもしれません。 「怪獣群」なんて題に使われてたりしますが、煽りというか話題作りのようで、内容とはあまり関係を感じませんでした。 むしろ、マタギのような山の民やサンカのような人々が、近代社会に取り込まれて行くエピソードを見るよう。 『争闘阿修羅街』も物語を反映した題とは言い難いものでしたし (題はギャングの抗争を描いた映画のよう)、インパクトのある題を付けて客を引くという趣向だったのでしょう。
実は、この映画を観に行った一番の目当ては 大山 デブ子。お嬢さんを救った兄弟の母の役で、粗暴なのか優しいのか判らない不思議な雰囲気を出していたけど、コミカルな所は少なめだったでしょうか。