あらすじ: 専務秘書兼タイピストとして働く真面目だが奥手な長女 俊枝 は、 同じ会社で働く 成田 に好意を寄せていたが、 成田はそれに気付かず、俊枝 を通して知り合った奔放なモガな妹 玲子 へ求婚する。 俊枝は自分の気持ちを押し殺して二人の結婚を後押しするが、結婚式の席で不調となり倒れてしまう。 そのことで、成田は俊枝の気持に気付いてしまい、一方の玲子は結婚前に付き合っていた男に付き纏われ、 新婚旅行はぎくしゃくしたものとなる。 俊枝は専務 片山から後妻にと求婚され、最初は拒絶したが、旅行先からの妹の葉書を読むにつれ、片山へ心が傾いていく。 俊枝は軽井沢の別荘へ休暇中の片山を訪ねるが、片山の家族にタイピストであることを馬鹿にされる。 傷心で東京に帰ると、 結婚生活に飽きて沢田と再び遊ぶようになった玲子が、成田にそれを見咎められ喧嘩となり、家を出たところであった。 2人の幸せのためにと、俊枝はダンスホールへ乗り込み、沢田といた玲子を見つけて、成田の元へ連れ帰る。 しかし、玲子は俊枝や成田の言うことは聞かずに、再び家を出てしまう。 俊枝は心労で倒れ、伊豆で療養生活を送るようになる。忙しい中、片山は度々 俊枝 を見舞いに訪れていた。 成田は数年海外へ行くことになるが、玲子は見送りにも来ない。 成田は俊枝に、迎えに来るときは片山 夫人として、と言って、旅立っていった。
俊枝と片山の間に社会階層の違いの問題が出てくるものの、 むしろ、真面目て奥手な姉と奔放なモガの妹が対比される形の、 社会階層違いの成就しない恋とは違うタイプのメロドラマ。 最初こそちょっとしたすれ違いだったものの、お互い好意に気付いてからもそれを成就させないものは、 妹と結婚した成田の責任感と、妹の幸せのための俊枝の思いという。 今からするとなかなか理解しがたい感覚ですが、この時代の倫理観というのもあるのでしょう。 にもかかわらず、つい見入ってしまったのは、 冒頭の悪夢の場面から姉妹が火花を散らるダンスホールの場面まで清水 宏 のモダンな演出の良さもあると思いますが、 俊枝を演じる 八雲 恵美子 の魅力が大きいでしょうか。芯の強い女性の役が実に似合います。 奔放で一見自立しているかのようなモガの玲子より、保守的な俊枝の方が強い女性に見えてしまうという。 そんなところも面白く感じられました。