パリ、東京、ミュンヘンの Espace Louis Vuitton 3館合同で開催されている 女性アーティスト3名をフィーチャーした展覧会 IN SITU-1 の東京編は 韓国出身でベルリンを拠点に活動する Min-Jeong Seo (ソ・ミンジョン) による公開制作。 9月から制作しており、観に行った12月末の28日には既に制作は終わっていて、通常の展示のようになっていた。
従来は歴史的建造物を題材に用いるそうだが、今回の展覧会では特に具体的に参照した建築物はなく、 建物の鉄骨構造を形大きさはそのまま素材を発泡スチロールで置き換えて作るというもの。 重厚な鉄骨が白くて軽い発泡スチロールという対照的な素材に置き換わるという面白さがある。 また、その鉄骨構造は内部からの爆発によって破壊されたかのように、壊され歪められている。 単純な鉄骨構造ではなく爆発の威力により質量を感じさせずに飛び散る様を象っているその形状に、 同じく質量を感じさせない発泡スチロールという素材が合致している。 そのため、単なる素材の意外さやミスマッチの面白さというだけでなく、素材の選択に説得力がある。 そんな所が魅力的な作品だ。
制作の様子のビデオを会場で観ることができたのだが、 デッサンを描くようにスケール模型を制作し爆破の壊れ方を試していた。 また、ギャラリーに設置された作品も、最初から「爆破」された形態で作るのではなく、 最初は「爆破」前の通常の構造で組み上げられていた。 これを、どのように「爆破」したのかの映像を観ることが出来なかったのが、少々残念。
この発泡スチロール製の「爆破」された鉄骨構造の他に、 小鳥の死骸を焼物 (磁器か白釉か) を並べた作品もあった。 重さを感じる素材使いは絶妙だが、大きな鉄骨構造に比べて、ひっそりした感はあった。