近年は毎年この時期に横浜で開催される舞台芸術見本市、 TPAM (Performing Arts Meeting in Yokohama)。 アジアにフォーカス、ということで、今年は東〜東南アジアのカンパニーが多く登場。 年度末の繁忙期で行けないことも多いのですが、今年は土曜を使って「横堀ふみディレクション」の2つを観てきました。
タイの古典仮面舞踏劇コーン (Khon) をバックグラウンドに持つタイ出身の Pichet Klunchun の作品。 セリフ無しの舞踊の作品ですが、舞台装置を用いず照明と奥行きを生かした空間と electronic な処理の入った Chinese Gugin (古琴) を使ったミニマムな演出も現代的。 インド古典叙事詩ラーマーヤナ (Ramayana) の戦闘の場面に着想したとのこと。 腰回り意外ほぼ裸の男性たちが頭までぴっちり身を包む白い衣装の長い爪を持った女性1名と闘うような構成でした。 男性陣が時折被る面も古典的ではなく、銀色に光るメカニックな印象を与えます。 男性陣はアクロバットかボディビルディングかというような動き。側転や前転も切れがありました。 しかし、全体としては動きは静かで、照明や音楽もミニマムでクライマックスの派手な場面などは無し。 最初のうちは物珍しさもあって見入ってしまいましたが、さすがに、1時間余は長く感じました。
黒沢 美香 といえば、1980年代から活動する日本におけるコンテンポラリーダンスの草分け的な存在。 その1992年の作品のリメイクです。元の作品は観ていません。 jazzzzzzzzzz といっても、音楽は jazz ではなく、いわゆる「ジャズダンス」的な動きに基づいているわけでもありません。 音楽は録音で少々「レトロ」な曲を交えつつ、guitar は用いず electric bass と drums のみの ラウドでヘビーなロック的な生演奏。 冒頭のダンスとは何かという問いかけと共に示される 腰を左右に振りつつ両手で下を押さえるような 6拍子のエロティックというよりちょっとユーモラスな動きが、全体を通したモチーフとなっていました。 その動きを変奏して見せていくことが彼らなりの問いへの答えということなのかもしれませんが、 残念ながら自分はピンとくるような動きを捉えることはできませんでした。