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Review: Cy Twombly: Fifty Years of Works on Paper @ 原美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2015/07/20
Fifty Years of Works on Paper
原美術館
2015/05/23-2015/08/30 (月休;月祝開,翌火休), 11:00-17:00 (水11:00-20:00).

1950年代から2000年代にかけて活動したアメリカの美術作家 Cy Twombly の紙の作品を集めた回顧展。 Twombly 自身が作品を選んだ2003年の国際巡回展に基づいたものということ。 いわゆる抽象表現主義の作家ですが、 Jackson Pollock の pouring や Mark Rothko の color field とも違う、線や手書き文字を多用する作風。 今回はドローイングやモノタイプによる紙の作品のみということで、この線/手書き文字というものが際立っていたように感じました。

手書き文字を使った作品より、手書きの線が踊る作品、 それも1950-60年代の彩度が低い作品の方が、線自体の面白さが出て良いように感じました。 その一方で、1980年代の Scenes from an Ideal Marriage (1986) や Petals of Fire (1989) に 赤を中心とした色使いの良さを感じたりもしました。 Twombly にもこういう作品もあったのだなあ、と気づけたのが収穫でした。

さて、原美術館といえば、Café d'Art のイメージケーキ。 おそらく Petals of Fire あたりをイメージしたものとは思うのですが、 単にチーズケーキにトッピングしただけになってしまったような。 まだ、線や手書き文字を使った方が Twombly らしくなったような気もしますが、 ケーキ的な彩りなら1980年代の色使いの良い作品でしょうし。 抽象表現主義絵画のイメージケーキは、やっぱり難しいなぁ、と、つくづく。