1980年前後からフランスのコンテンポラリー・ダンスの文脈で活動する3人の振付家による フランスのポピュラー・ソングに合わせて踊るという作品。 取り上げる歌は1956年から1977年の間の16曲。 黒い衣装に白もしくは黒の襞襟をつけた姿で、歌の内容をジェスチャーで表現するかのように踊るというもの。 1から作り上げた作品というより、過去に振り付けたことがある歌も取り上げており、その再構成という面もあるようだ。 丸椅子を時々使う程度で舞台美術はミニマル。 ダイナミックに踊るというより、身振り手振りで歌を表すというもの、 終わり近くには映像を使ったり、歌というより長いアジテーション詩の朗読のような Léo Ferré: ”Il n'y a plus rien” (1973) を取り上げたりしていたが、 全体としては静かに聴かせるように踊って見せた舞台だった。 身振りで歌うというアイデアは、日本舞踊に着想したという面もあるようだ。
2曲目の Bourvil: “Le p'tit bal predu” (1961) でのダンスは、 元々 Pascale Houbin が Philippe Decouflé と踊って映像化したもの [YouTube] だが、 ここでは Houbin のソロとして机は使わずに立って踊った。 膝立ちの状態でやはりソロで踊った Léo Ferré: “On s'aimera” といい、 Léo Ferré: “Avec le temps” といい、Houbin は手の動きが美しかった。 顔の周りとかでのゆっくりした動きからすっと手を伸ばすとき、先に行くほど早く感じられるため、動きが切れよく大きく見えた。 そんなことも印象に残った舞台だった。