今年は10月から11月にかけて海外カンパニーの来日公演ラッシュ。 それで満腹したか、あまり食手が伸びなかった今年の FESTIVAL/TOKYO ですが、23日に主催プログラムを2本観てきました。
韓国のゲーテ・インスティトゥートが韓国のゲーム開発会社 NOLGONG と組んで制作した ”interaktive theaterintallation” (インタラクティヴな演劇的インスタレーション)。 J. S. von Goethe の小説 Faust (1808/1833) に基づくもので、 観客は1時間の間に、友人 (というか好きな有名人) を「売って」、Faust から引用された名文句を買う、というもの。 売り買いのインタフェースこそスマートフォンのアプリで作られていたインタフェースが用いられているが、そこで閉じていません。 名文句は歩き回って張り出されたものを探す必要があり、観客間でやりとりするようルールが設計されてもいました。 Faust の名文句に触れさせるためのゲーミフィケーションかなと思いましたが、実際にやってみると名文句を味わうようなものではありませんでした。 観客が大切だと考え選択した「知」や「愛」といったカテゴリと名文句が一致しないと名文句が購入できないため、 この名文句がどのカテゴリのものか解いていくようであり、味わっていたらゲームが進まないし、 文学的な名文句のもつ多義性が損なわれたようにも感じられてしまいました。 ゲームではアベレージ程度のポイント「満足度」は獲得できましたが、 インタラクティヴな演劇的インスタレーションとしてはそれほどではありませんでした。
スペインはマドリードを拠点に活動する Angélica Liddell の作品は、 2時間40分の後半約半分は、Liddell がマイク片手に、 ひたすらアジテーションのように母性に関する怒り苛立ち罵詈雑言をがなり続けるというもの。 その怒り苛立ちの内容も陳腐に感じられ、非常に単調に感じられてしまいました。 かといって前半も動きや舞台構成に引かれるものがあったわけでなく、とても長く感じられてしまいました。