シネマヴェーラ渋谷 での特集上映『ミュージカル映画特集−ジャズで踊って』からこの2本を観てきました。
華麗なタップダンスで有名なRKO時代の Astair & Rogers のRKOの映画のうちの一本。 Astair & Rogers の映画はダンスの場面のみであればいろいろ観る機会がありましたが、 映画として通して観るのは実は初めて。 Astair 演じる精神分析医が、結婚を躊躇する親友の婚約者 (Rogers が演じる) を患者として観ることになったことをきっかけに、 彼女に好意を抱くようになり、結婚式に向けてドタバタを繰り広げるというスクリューボール・コメディ。 繊細に恋心の機微を描くような物語・演出ではないので、正直に言えばそこは物足りなく感じましたが、やはりダンスシーンは楽しいものです。 ゴルフのティーショットをしながら踊る場面も凄いと思いましたが、 やはり、カントリークラブのクラブハウスで Rogers の歌う “The Yam” に導かれるように部屋を移動しながらの群舞が楽しかった。
ニューオリンズの赤線地帯 Storyville で生まれた音楽が、1917年の閉鎖に伴いミュージシャンがシカゴに移り、 jazz となって世界に広まっていく様を描いた映画です。 Billie Holiday が出演している唯一の映画で、まさに当事者だった Louis Armstrong が出演しているといるということ、 もっとドキュメンタリータッチかと思いきや、史実等はさほど重視せずに、 そんな時代を背景に、Storyville の顔役でミュージシャンを支えた男と jazz に惹かれたオペラ歌手の間の恋愛を メロドラマ的に描いた映画でした。 といっても、Louis Armstrong の演奏の様子や Billie Holiday の歌はもちろん、 当時の Storyville の様子はこんな感じだったのだろうかと垣間見られただけでも興味ふかくみられました。 店でのセッションの様子はある程度は想像の範囲内。 むしろ、店の広告のために荷車風の台車に乗って街に繰り出して演奏している様子が、面白く感じられました。
特集上映に気付くのに遅れて、 RKO時代の Fred Astair &: Ginger Rogers の代表作 The Gay Divorcee (『コンチネンタル』, 1934)、 Top Hat (『トップ・ハット』, 1935)、 Shall We Dance (『踊らん哉』, 1937) を見逃したのは残念。 中川三郎 & ベティ稲田が出演した 鈴木 傳明 (dir.) 『舗道の囁き』 (加賀プロダクション, 1936) も観られませんでしたが、 先週土曜は京都にいたので、どのみち観られなかったということで、少々諦めがつきました。