TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Karl Stats: Cuerdo @ あうるすぽっと (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2016/7/31
Karl Stets
あうるすぽっと
2016/7/30, 18:00-19:10.

Karl Stets は1992年から活動するデンマーク出身のサーカス・パフォーマー。 2002年からはスペイン・カタルーニャ州バルセロナを拠点に活動しているという。 Cuerdo は Stets の約1時間のソロパフォーマンス。 映像や舞台装置で斬新な演出をすることはなく、 音楽もポータブルカセットレコーダーを拡声器につないで自分で操作するというもの。 劇場ならではの照明による演出はあったが、客いじりもあり、劇場以外でも上演しても楽しそうな作品だった。

踏み台にもなるような革の鞄を背に乗せて客席から登場し、 その中からいろいろ道具を取り出しつつ芸を繰り出していく。 基本はロープのマニピュレーションで、導入はちょっと遊ぶような小技を見せた後、 ロープの一端を細い糸で鞄に固定して、その張力を使ってロープを蛇のように身に這わせたり。 最後近くはローブを足や頭に巻きつけながら身体の動きで結ぶマニピュレーション。 最初にやったような小技に戻って終わるという。 細いマニピュレーションだけでなくポイのような動きのある技や、綱渡りのような大技もあった。 縄以外には、9台のネズミ捕りを床に並べて、目隠しをしてネズミ捕りに触れないように足を移動するという技もあった。

技をまとめ上げるような物語もなく、 全体として一つの独特な世界を作り出すような舞台ではなかった。 派手な大技で観客をひきつけたりすることもなかったが、 ロープを鍵となるモチーフとして、 細身のスキンヘッドで立ち振る舞いも謎めいた怪人風のキャラクターで全体をまとめていた。 そんな雰囲気も楽しめた舞台だった。