戦後マンガ史に沿って、描線やコマ割、キャラなど、マンガの表現技法に焦点を当てた展覧会です。 戦前からの赤本マンガにも目配せしつつ、トキワ荘の作家たちに始まり、 それ以降の劇画、少女マンガでの技法、最近の萌えキャラまで。 13名のマンガ家の表現技法を、その原画等の資料を用いて示していました。 単に技法だけでなくそのマンガ史上の展開もわかるよう、 技法だけでなくイベント的な背景もわかるような資料も補助線的に展示されていました。
マンガは熱心な読者ではないどころか、最近はほとんど読んでおらず、 展示されていたマンガの多くが読んだことがないものでしたが、 なるほどマンガはこう描かれているのか、と、興味深く読むことができました。 マンガの表現技法については、1990年代に 『マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法』 (NHKライブラリー, 1997) など、夏目 房之介 の著書で勉強したことがありましたが、 その後の展開をフォローしていませんでした。 この展覧会で知識をアップデートできたでしょうか。
この展覧会で特に秀逸だったのが、「田中圭一の視点!」と題された解説パネル。 パロディ・マンガというかマンガの画風の模写で知られる 田中 圭一 が、 その模写などを使いつつ具体的に展示作家と関連する技法を解説したものです。 これを読んでから展示されている絵を見直すと、 なるほどこういうことかと腑に落ちることしきりでした。 このパネルは、表現技法のうち描線に若干内容が偏っていたので、 展覧会全体として描線にウェイトが置かれているようにも感じたほどでした。