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Review: 『木々との対話 再生をめぐる5つの風景』 Dialogue with Trees: Five Stories of Rebirth and Renewal @ 東京都美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2016/08/21
Dialogue with Trees: Five Stories of Rebirth and Renewal
東京都美術館
2016/07/26-2016/10/02 (月休;9/19開), 9:30-17:30 (金 -20:00; 8/5,6,12,13,9/9,10 -21:00; 9/23,9/30 -17:30).
國安 孝昌, 須田 悦弘, 田窪 恭治, 土屋 仁志, 舟越 桂.

東京都美術館開館90周年の日本人作家5人によるグループ展。 具象の木彫を3人 (須田 悦弘, 土屋 仁志, 舟越 桂) と インスタレーション2人 (國安 孝昌, 田窪 恭治) という組み合わせだが、 展覧会として分裂をさほど感じさせず、うまくまとめた展覧会だった。

それぞれの作家に個別に展示空間が割り当てられ、 強く作品間を関係付けるような展示ではなかった。 しかし、建物レベルのスケールの國安 孝昌、家具レベルのスケールの田窪 恭治、 人物大の舟越 桂、小動物大の土屋 仁志、そして、草花大の須田 悦弘、 そんなスケール感の階層が全体として生態系を作りだしているよう。

どちらかといえば、インスタレーションの方が好みで、 國安 孝昌 「CHI VA PIANO VA LONTANO (静かに行く人は、遠くへ行く)」 (2016) の陶ブロックと木材からなるマッシブなインスタレーションの迫力を楽しんだし、 田窪 恭治 「感覚細胞–2016・イチョウ」 (2016) のイチョウの緑と根元に敷き詰められた鋳鉄ブロックの鮮やかなオレンジのコントラストも良かった。

さりげなく繊細に展示された 須田 悦弘 の草花の木彫も相変わらずだった。 土屋 仁応 の作品は今までピンとこなかったのだが、この展覧会で初めて良く感じられた。 作風が変わっていたわけではないが、展示の文脈を得て、命を感じられた。