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Review: Nadine Labaki (dir.): Et maintenant, on va où ? 『私たちはどこに行くの?』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2017/01/17
Et maintenant, on va où ? [Where Do We Go Now?]
『私たちはどこへ行くの?』
2011 / Les Films des Tournelles (France / Lebanon / Egypt / Italia) / 110min / blue-ray / color.
un film de Nadine Labaki.
Musique Originale de Khaled Mouzanar. Paroles des chansons par Tania Saleh.
Nadine Labaki (Amal, patronne du café), Claude Baz Moussawbaa (Takla, la mère de Nassim, épicière), Leyla Hakim (Afaf), etc.
予告編 [YouTube]

レバノンの女性監督・女優 Nadine Labaki は、 初の長編映画 Caramel (2007) が 日本公開 (邦題 『キャラメル』) されていますが、その時はノーチェック。 イスラーム映画祭2で上映された、この Et maintenant, on va où ? で初めて観ました。 クリスチャンとムスリムが同居するレバノンの村を舞台にしたコメディ映画で、 内戦は小康状態でそれなりに平和裡に暮らしているものの、 村の男たちはクリスチャンとムスリムの間で一触即発の状態。村の女たちは、男たちの衝突を避けるため、あれこれ策を弄します。 奇蹟の真似事をしたり、息子の死を伏せたり、セクシーなショーダンサーを村に呼んだり、大麻入りの料理を供するパーティを開いたり。 そんなドタバタをコミカルに描いた映画です。 弄する策も現実的とは言い難いものが多いわけですが、描写はリアリズムではなく、時に歌やダンスを交えてミュージカル的な演出も交えて、面白おかしく。 笑いはブラックではなく、むしろ微笑ましく感じるものでした。 確かに、多様な女性の描かれ方に比べて、男性の描写が単純に過ぎるようにも思いました。 しかし、それでも十分に楽しめましたし、テーマにも関わらずかわいらしいとすら感じた映画でした。

この映画のハイライトシーンの一つ、男たちを酔い潰すためのパーティの準備で大麻を仕込んだ料理を女たちが作る場面で、 “Hashishet Albi [The Hash Of My Heart]” という歌が使わていてます。 約2年前にレバノンの女性シンガーソングライター Tania Saleh のアルバム A Few Images (Kirkelig Kulturverksted, FXCD 404, 2014, CD) をレーベル/ジャケット買いしたことがあったのですが、その時に彼女の Soundcloud で この “Hashishet Albi” を聴いていました。 この映画を観ていてこの Tania Saleh の歌が使われていることに気付いて、 後で調べて、そもそもこの歌はこの映画のために作られた歌だった事に気付きました。 この映画で使われた曲の歌詞は全て Tania Saleh によるもののようです。 Tania Saleh は Crammed Discs からアルバムを出した Yasmin Hamadan とも親しいようなのですが、 Nadine Labaki とも一緒によく仕事しているようです。 この映画がきっかけで、レバノンの女性アーティスト達のちょっとしたサークルがあるらしいことに気付くことができたのでした。