Малый драматический театр (МДТ) は1944年にロシア・レニングラード (現サンクトペテルブルグ) に設立された劇場。 Лев Додин [Lev Dodin] はソ連時代の1960年代から演出家として活動し、1983年に МДТ の芸術監督に就任しています。 この劇団もこの演出家が演出した作品を観るのも初めてですが、ロシアのトップクラスと言われる激短を観る良い機会かと、足を運んでみました。 2011年の旅行でサンクトペテルブルグへ行っていて、この劇場の前も通りがかっている (夏だったのでオフでしたが) というのも、観ようという気になった理由の一つです。 上演作品は、ドイツ古典主義の (Beethoven: Sinfonie Nr. 9 の元となった詩の作者として知られる) Schiller の Kabale und Liebe ですが、 あらすじも知らないまま、予習もせずに臨みました。
音楽師の Miller 夫妻がロシア風で、現代的な恋愛を感じさせるように変えていたのではないかと思いますが、 舞台を現代に翻案するようなことはせず、マルチメディアを駆使するわけでもない、セリフで展開するストレートな演劇でした。 それでもスタイリッシュでオシャレに感じたのは、 シンブルな舞台美術に、時にリアルな俳優の演技だけでなく、 俳優の立ち位置や第三の登場人物の視線も使ってシンボリックに物語るような演出だからでしょうか。 しかし、主役 (Ferdinand と Luise) を演じた2人 (Данила Козловский と Елизавета Боярская) がモデルのような美男美女で、 ポースだけでも絵になったということもあったかもしれません。 といっても、一番気に入ったのは、2つの三角関係の一つをなす Lady Milford 役の女優 Ксения Раппопорт。 セリフだけでなく踊るような動きも使ったコメディリリーフを楽しみました。
18世紀の戯曲ですが、身分違いの恋に2つの三角関係の駆け引きが絡み、悲劇的な結末とストーリーは予想以上にメロドラチック。 ロシア語のセリフはほとんど理解できませんでしたが、演技演出が良かったのか、ほとんど気になりませんでした。 自分の好みとは若干方向性が違い、斬新な演出を楽しんだというほどではありませんでしたが、 比較的ストレートに古典を上演してもこれだけ楽しめる舞台になることもあるのかと気付かされた舞台でした。
三軒茶屋に着くと、街にロシア人らしき人がたくさんいてびっくり。 実際、劇場の客席のかなりの割合がロシア人らしき人たちで、東京にいるロシア人が皆集まってしていたのではないかと思うほど。 終演後の拍手の際には舞台前で俳優たちに花束を渡す姿も多く観られ、ロシアの劇場ではこうなんだろうなあ、と。 外国の劇団の東京での公演をそれなりに観ていますが、東京にいるその国の人が来ているのを見たのは初めてです。