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Review: ART+COM / Rhizomatiks Research: Poetics / Structures of Light and Motion @ NTTインターコミュニケーションセンター (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2017/03/14
Poetics / Structures of Light and Motion
NTTインターコミュニケーションセンター
2017/01/14-2017/3/20 (月休;月祝開,翌火休;2/12休), 11:00-18:00 (金土11:00-20:00).

真鍋 大度 と 石橋 索 の主宰する株式会社 Rhizomatiks といえば、 Perfume のライブなどでのテクノロジーを駆使した映像演出を手がける会社。 メディア・アートというよりイベント類でのクライアント・ワークとしての映像演出などのプロジェクトが多いが、 Rhizomatiks Research はメディア・アート的なプロジェクトを扱う研究開発部門として2016年に設立。 もう一方の ART+COM も、この展覧会で知ったのだけれども、Rhizomatiks とも類似して、 テクノロジーやメディアを駆使したインスタレーションや空間演出を手がけている会社だ。

2社を紹介する資料映像コーナもあったけれども、この展覧会はそんな2社の仕事の記録を展示したものではなく、 メディア・アート的なインスタレーション作品を1作品ずつ展示していた。 どちらの作品も、RGBと白色という単純な色と、単純な形状を使い、 動きと反射によって複雑さと広がりを作り出すような作品だった。

Rhizomatiks Research: distortion (2017) は、照明を落としたギャラリー空間で、 数10cm角で高さ1mほどの鏡面の正四角柱が回転しつつ前後するよう動かし、 そこに強コントラストのRGB光と白色光のパターンを投射するというもの。 投影している光の形状動きは単純な図形なのだが、四角柱がその動きを複雑にして、3D CG の万華鏡を見ているよう。 3D VRでもないのにVR酔いしそうになるほどだった。

もう一方の ART+COM: RGB|CMYK Kinetic (2015) は、 Sónar と Sorigué Foundation からの委嘱による作品。 2本の紐で吊るしたハーフミラーの円盤が5枚、紐を操作することで円盤を上下左右に動かしつつ、 RGB光と白色光を投影するインスタレーション。 面で光を当てると反射したRGB光と透過したCMYがパターンを作り出す。 ゆっくりした円盤の動きが、色のパターンのゆっくりした動きを作り出す。 そのゆっくりとした動きと色彩、そして、Ólafur Arnalds による post-classical な音楽も詩的にすら感じるインスタレーションだった。