フランスのパリで開催されているアニュアルの国際的なサーカスの競技会 (コンペティション) Festival Mondial du Cirque de Demain。 『大道芸ワールドカップ in 静岡』のワールドカップ部門に招聘されるパフォーマーが出演していることが多く、その名は知っていましたが、断片的な動画でしか見たことがありませんでした。 しかし、今年1月に開催された第38回は、仏独共同出資の公共放送 ARTE の 音楽や演劇・ダンスのヴィデオ・ストリーミング・サイト ARTE Concert でストリーミングされました。 ストリーミング公開されていました。 そのビデオをやっと観ることができました。
ある程度予想していましたが、 派手な音楽で注意を引きつつ高度な技を見せつけるようなパフォーマンスが中心。 作品として一つの世界を作り出しているというより、 サーカスやキャバレーのショーの1プログラムに組み込まれることを前提としている構成が多いです。 といっても、現代サーカスの影響でしょうか、短い時間ながら一つの世界を作り出し道具や技にアイデアを感じるものもありました。
もっとも気に入ったのは、ロシア出身でカナダで活動する Masha Terentieva の Aerial Hotel Cart。 ホテルにあるバゲージ用のカートを使って器械体操というかコントーション・アクロバットのようなパフォーマンスを見せたかとおもいきや、カートを釣り上げてのエアリアルに。 シンプルなリングとは異なるカートの形を生かした動き、 そして、最後はドアボーイに戻ってカートを押して去っていくという演出が気に入りました。 音楽は Jacques Brel 晩年の曲 “Les Marquises” 「マルキーズ諸島」。 派手ではなく落ち着いた少々ミステリアスな雰囲気が良いです。
フランス/スイス混成のサーカス・カンパニー Cirque La Compagnie の Planche/Mât は、 男性4人による、シーソー (コリアン・プレート) とチャイニーズ・ポールを組み合わせてのパフォーマンス。 シーソーでのダイナミックに走り回り飛び上がる動きと、 チャイニーズ・ポールでのスタティックながら力強い動きという、異質な2つの動きを巧みに組み合わせていました。 Noir Desir “Le Grand Incendie” のノイジーな alt-rock なビートに乗って力強く技を見るパフォーマンスですが、 音楽無しで始まり、最後も一人外れたまま終わってしまうなど、単に派手に見せるだけではない演出も気に入りました。
オープニング (ouverture) は、コンペティション参加ではなく招待による フランスのカンパニー Akoreacro によるパフォーマンス。 Kraxon からの抜粋だったようで、少々断片的に感じられましたが、 音楽は生演奏ですし、エアリアル、アクロバットなどの技の組み合わせ方にアイデアが感じられました。 一つの現代サーカスの作品として見たかったものです。