Jörg Müller はドイツ・バイエルン出身ながらフランスを拠点に活動するジャグリングを得意技とするサーカス・パフォーマー。 Mobile は1994年 CNAC (Centre national des arts du cirque) の卒業制作として作ったソロの作品。 円形の舞台の中央に、5本の金属パイプがそれぞれ天井から長く黒い紐で高さ1mほどの所に吊り下げられている。 この吊り下げられた5本のパイプを使ったジャグリングだ。 音楽は一切使わず、金属パイプも彩色などさえれず銀色の金属の質感がむき出しのもの。 シンプルな白い照明でパイプを浮き上がらせるだけ。 はじめは無音で、パイプの間をすり抜けつつ、パイプを揺り回していく。 もちろん、金属パイプ同士がぶつかったり、紐が絡んだりすることはなく、動きは滑らかに。 はじめのうちは小さく、しかし、やがて大きく、観客の頭上まで振り上げていく。 頭上を金属パイプが飛び交うよう。 やがて、人差指に付けた硬質のキャップを使ってパイプを打ち鳴らしたり、息でパイプを吹き鳴らしつつ、ジャグリング。 異なる長さの5本のパイプはチューニングされており、パイプの響きも美しかった。 ミニマルで静謐、そんな中にダイナミックな迫力も感じられる、美しいパフォーマンスだった。
この公演は、座・高円寺の夏の子供向けプログラム『世界をみよう!』の一つだったのだが、 同じプログラムの公演を続けて見た。
デンマークの劇団による、子供向けの作品の公演。 セリフは一切使わず、セミアコスティックギターやソプラノサックス、ひょうたん笛を演奏しつつ、 フォークやペットボトルの立てる物音やシンプルな光と影を楽しむような作品。 ファンシーなビジュアルを用いることもなければ、おどけた仕草をすることも無い、シンプルな演出だったが、 可愛らしさを感じる雰囲気のパフォーマンスだった。