TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Dan Flavin @ Espace Louis Vuitton Tokyo (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2017/09/03
Dan Flavin
『ダン・フレイヴィン』
Espace Louis Vuitton Tokyo (表参道)
2017/02/01-2017/09/03 (無休) 12:00-20:00 (臨時休業、開館時間変更はウェブサイトで告知)

1960年代に Minimal art の文脈で知られるようになり、20世紀後半に活動したアメリカの現代美術作家 Dan Flavin の小規模な個展。 蛍光灯を使った Op art としても知られます。 美術館の常設展示やグループ展でよくその作品を観たことがありましたが、個展は初めて。 今回は代表作の一つ “Monument” for V. Tatlin 連作の4作品をメインに7作品が展示されていました。 こうして観ると、単調にマッシブに並べるようなインスタレーションとは異なり、様々な長さのコンポジションの妙を感じさせる作品だということに気付かされました。

しかし、まじまじと観ていると、白い色でも蛍光灯の管の色の違いに気付かされます。 管にプリントされたメーカーや型番までチェックしてみたのですが、必ずしも統一されていません。 カラーの管も “Yellow Special” などとプリントされており、限定生産かもしれませんが、作家が色を付けたのではなく、既製品なのだなあと。 よくよくみると、極の近くが黒ずんでかなり劣化が進んでいる蛍光灯もありました。 制作されて50年以上つものもあり、寿命が来て交換した管もあるのだろうかと思ったりしました。 しかし、会場で配られていたリーフレットを読むと、 「これらの“モニュメント”の寿命は照明装置が機能している間(2,100時間)に限られるのです。」 という作家の言葉もあり、蛍光灯の寿命が切れても交換しないのが、作家の意図のよう。 白色の蛍光灯の管の色の違いも、経年劣化の進行のばらつきのせいなのかもしれません。