Compagnie XY は Abdeliazide Senhadji (この公演にはパフォーマーとして参加していない) らによって設立されたサーカスカンパニー。 大人数のアクロバットパフォーマーによる作品を特徴としているようで、 Le Grand C (2009) では17名のパフォーマーを使っている。 この作品で2012年に鳥の劇場 (鳥取県) で初来日公演があったが、残念ながら観られず。 今回、22名のパフォーマーによる Il n'est pas encore minuit... での再来日公演を観てきた。
planche coréenne (teeterboard, シーソー) などのアクロバット用の道具は用いたが、 大道具その他の装飾的な舞台美術は使わない、黒い剥き出しのステージで繰り広げられる、 非物語的な演出で大人数ならではのアクロバットの構成の妙を楽しませた1時間余りだった。 繋ぎのマイムとかダンスもあまり無いが、大人数なだけあって、組み合わせのバリエーションは多彩。 腕で上げたりして人の塔を立てるだけでなく、振り上げたり、シーソーで跳ね上げたりの飛ぶ動きも多い。 並行して同じ演技をするのはもちろん、クロスに上下に交錯するような動きも見事。 円柱を作ったり板も使って大きな塔を作るなど、大人数ならではの演技も楽しめた。
確かに大技もあるけど、花形の芸人の大技で盛り上げるというより、集団的な動きの妙で見せる構成だった。 命綱は使わずに、危険な技の際は受け止める位置に人が入るのだけど、そのフォーメーションも含めて演技となっていた。 位置取りに幾何的な構造を感じさせるときはあるけれども、緩さを残しマスゲーム的なきびきびと統率取れた動きでは無い。 衣装は色彩を抑えた普段着のような衣装はある程度の統一感を持たせる程度で、ユニフォームではない。 女性もフライヤー (塔の上になったり投げ上げられたりする人) だけでなく、 女性だけで塔を作ってポーター (塔の下になったり投げ上げたりする人) になる時もあったり。 (流石に女性がポーターで男性がフライヤーという組み合わせは体格的になかったと思う。) 音楽的とまでは感じさせなかったが、非物語的で、緩く構造を持たせるような演出は、Rosas を連想させられりもした。
スラップスティックに笑いを取る場面もほとんど無かったが、ユーモアを感じさせる場面も楽しんだ。 わかりやすい華やかさ、キャッチーさは感じられなかったが、それも含めて持ち味だろうか。 多様な演技で飽きることなく楽しめた1時間余りだった。