20世紀初頭にフランス・パリで活動した Eugène Atget の受容と影響に焦点を当てたコレクション展。 Adget を見出した Man Ray、 Man Ray の助手で Adget をアメリカへ紹介した Berenice Abbott、 MoMA写真部門ディレクターだった John Szarkowski を軸に、関係した作家の写真を展示していました。 20世紀半ばの海外での受容、影響、Walker Evans の展示までは良かったのですが、 20世紀後半の日本での受容、影響については判然としない展示でした。 Szarkowski の企画した展覧会 New Japanese Photography を取り上げているのですが、 そもそもこの展覧会がどのような内容だったのか分からなかったのが、物足りなかったです。 荒木 経惟 『写真論』 の中には Adget の影響を感じさせるような写真も少なからずあると気付くことができたなど、 得るところもあったのですが、その荒木の写真と New Japanese Photography の関係など、 もう少し繋ぎが欲しかったように思いました。
アニュアルで開催されている、新進若手の作家を紹介するグループ展示。 こういうグループ展は一人くらいは引っかかるものがあるのだけど、今回はあまりピンときませんでした。 そんな中では、古い木枠やアルミサッシのガラス窓や手鏡、鏡台などのガラス面に感光材を塗って、 かつて見えて/映っていた物の白黒写真をプリントしたものが、最も良かったでしょうか。 制作方法を知らずに観た時は微妙なボケ具合もピンホールを使って直接露光したのかもしれないと思いましたが、流石にそこまではせず、ネガからプリントしたよう。 それにしても巨大な暗室を要して、大変そうです。
主に1940s-70s、20世紀半ばに活動したアメリカのドキュメンタリー写真作家の回顧展です。 Life 誌フォトエッセーとして発表されたものが主ですが、 新興写真に連なるような白黒で端正な構図のものが中心で、散文的というより詩的に感じるところも。 Smith の意図通りにならなかった点も多かったですようですが、 最終的なフォトエッセーがどう仕上がったのかも、比較としてもっと見たかったです。