今年の3月から4月にかけて、キューバ・ハバナの Centro de Arte Contemporáneo Wifredo Lam で開催した同タイトル (スペイン語でのタイトルは Yendo más cerca) の展覧会の日本展。 テーマは日本とキューバの近さ/遠さとのことだが、観ていてそれを意識させられることはあまりなく、コンセプチャルなインスタレーション中心の展示は、地域性を形式的に付与されたグローバルな現代美術だった。
最も印象に残ったのは 持田 敦子 の工事現場用のパイプや足場、脚立を使って、純粋階段を組んだインスタレーション『距離,その落下,その痕跡について』 (2018)。 川俣 正 など少々連想させられるマッシブで建築的なインスタレーションだけれども、純粋に階段にフォーカスしているよう。 モーターでゆっくり回転する金物や磁石を用いた動きや白熱電球の点滅の不規則さも味わい深い 毛利 悠子 のインスタレーション『白くまと感光紙』 (2018) も良かった。 キューバの作家の作品の印象が薄かったのは少々残念。
少々空虚な展示に感じたのは、スパイラルガーデンという商業施設の空間のせいもあるかもしれない。 例えば、アーツ千代田3331や (今は無き) BankART Studio NYK のようなスペースだったら、もっと味わい深く楽しめたのではないかと思うところもあった。