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Review: Compagnie Blanca Li: Solstice @ 東京芸術劇場 プレイハウス (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2018/07/01
東京芸術劇場 プレイハウス
2018/06/30, 12:00-13:40.
Mise en scène et chorégraphie: Blanca Li.
Musique: Tao Gutierrez; Scénographie, dramaturgie: Pierre Attrait; Vidéo: Charles Carcopino; Lumières: Cathy Olive; Costumes: Laurent Mercier.
Avec les danseurs: Yacnoy Abreu Alfonso, Peter Agardi, Rémi Bénard, Iris Florentiny Julien Gaillac Joseph Gebrael Yann Hervé Aurore Indaburu Alexandra Jézouin Pauline Journé Margalida Riera Roig Gaël Rougegrez Yui Sugano Victor Virnot; Percussions, chant: Bachir Sanogo.
Production et Diffusion: Chaillot - Théâtre National de la Danse.
Création à Chaillot en septembre 2017 avec 14 danseurs et un musicien.

スペイン出身で現在はフランス・パリを拠点に活動する振付家・映像作家 Blanca Li の公演が TACT/FESTIVAL 2018 のプログラムの一つとして上演された。 Blanca Li に関する予備知識はほとんど無かったが、 Chaillot のプロダクションということで観て観た。 タイトルは夏至もしくは冬至を意味する単語。四季というか火、気、水、土を物語ではなく抽象的な映像とダンスで表現する抽象ダンス作品。 映像も火や雲、波などをテクスチャにしたほとんど抽象的なもので、下着に近い衣裳ということもあって、特定の地域性は強調していなかった。 しかし、kora や djembe、そして griot 風の歌を使った音楽、 そして、最後の「土」の場面でダンサーたちがひょうたんボウルを頭の上に乗せて歩く姿もあって、 西アフリカのサヘルのイメージを強く想起させられた。

舞台美術はシンプルでミニマリスティック。 舞台奥にせり上がったスロープがあり、波打たせた白い布が上下して、時に雲のように頭上を覆い、時に床に広がる。 抽象的な映像を背景や舞台に大写しすると立体感が損なわれがちだが、 背景だけでなく白布もスクリーンに使うことで、テクスチャのような映像の立体感が強調されるよう。

テクスチャ的な映像に少々 post-classical な electronica な音楽というのは少々ありがちかと思ったけれども、 それだけでなく、ダンサーの掛け声やボディパーカッション、そして、ミュージシャンによる楽器の生演奏や生の歌を交えていた。 テクスチャのような映像に負けないバレエ的というより体操的にすら感じる力強い動きのダンスの存在感もあって、 スタイリッシュながら身体的な生々しさも感じる舞台だった。

四つの場面のうち最も良かったのは、ポスターにもなっていた「気」の場面。 送風機による強風の中、白布をたなびかせつつ踊る様は、時に Loie Fuller へのオマージュを感じさせつつ (特に最初の女性ダンサーのソロ)、力強く美しかった。 その一方で、5, 6人のダンサーが近寄って、息で吸い寄せたり吹き放したりするような動きを組み合わせ行く場面も、ユーモラスで気に入った。

Campagnie Blanca Le は 明和電機 [Maywa Denki] とコラボレーションした Robot (2013) という作品を作っている。次は是非これを上演して欲しい。

終演後、劇場ロビーで、観客参加型のイベントがありました。 といっても、Blanca Li 自らのインストラクションで、短いダンスを踊るというものですが。 参加してみたのですが、普段の運動不足の体では付いて行くのか難しく、途中脱落してしまいました。 最近、体力運動能力の衰えが著しく、これはいけないと反省することしきりでした。