TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Ballet de Lorraine: Devoted / Steptext / Sounddance @ KAAT神奈川芸術劇場 ホール (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2018/09/24
KAAT神奈川芸術劇場 ホール
2018/09/16, 15:00-16:45.
Devoted
Chorégraphie: Cecilia Bengolea et François Chaignaud
Musique: Philip Glass, Another Look at Harmony Part IV
Lumières: Jean-Marc Segalen; Costumes: Cecilia Bengolea et François Chaignaud avec l'atelier du CCN - Ballet de Lorraine.
Danseuses: Amandine Biancherin, Agnés Boulanger, Pauline Colemard, Inés Depauw, Vivien Ingrams, Sakiko Oishi, Elsa Raymond, Ligia Saldanha, Céline Schoefs.
Première le 12 mai 2015 à l’Opéra National de Lorraine
Steptext
Chorégraphie: William Forsythe
Musique: Jean-Sébastien Bach - Partita No. 2 BWV1004 in D minor, Chaconne
Décors, lumières et costumes: William Forsythe
Danseurs: Agnés Boulanger, Jonathan Archambault, Alexis Bourbeau, Luc Verbitzky
Créé en janvier 1985 par l'Aterballetto Italie; Entrée au répertoire du CCN – Ballet de Lorraine le 19 Février 2009 à l’Opéra national de Lorraine
Sounddance
Chorégraphie: Merce Cunningham
Musique: David Tudor, Untitled 1975/1994
Décor, costumes et lumières: Mark Lancaster
Danseurs: Clara Brunet, Vivien Ingrams, Valérie Ly-Cuong, Elsa Raymond, Céline Schoefs. Jonathan Archambault, Charles Dalerci, Nathan Gracia, Rémi Richaud, Willem Jan Sas.
Créé par la Merce Cunningham Dance Company, le 8 Mars 1975 à Detroit, Michigan; Entrée au répertoire du CCN – Ballet de Lorraine le 14 mars 2014 à l’Opéra national de Lorraine.

Ballet de Lorainne はフランス・ロレーヌ地方の首邑ナンシーのコンテンポラリー作品をレパートリーとするバレエ団。 4年前に観た howroomdummies #3 はむしろ 人形劇をバックグラウンドに持つ Gisèle Vienne & Etienne Bideau-Rey の演出の色も濃いものだったが、 今回は現代バレエ、ポストモダンダンスの作品からなるトリプルビル。

Devoted は、Philip Glass のミニマルミュージックに乗って、99人の女性ダンサーば、少し脇を締めて両腕を広げた位置で、ポワント立ちでクルクルと回るターンが印象的な作品。 シェネというほど腕の反動をほとんど使わないところも、ミニマリスティック。 肘を上げるように腕の位置を変えるだけでも、ふっと大きな変化に感じられました。 このような作品では、かっちり揃い過ぎると単調になってしまうわけですが、どう多様性を織り込むかもポイント。 少し深い緑にレオタードの色は統一されていたものの、ハイネックに長袖からキャミソールまで上半身の形状や、片足ストッキングの色は様々。 それだけではなく、シンプルな立ち位置とライティングの区画の使い方で舞台全体としての見え方に変化を付けていくのが面白かった。 ターン以外の動きも変化を付けていましたが、静的なポワント立ちなどよりも、ポワント技から外れる その場で走るような動きや拳を突き上げガッツポーズをするような動きが面白かった。 見た目に可愛らしさすら感じさせるところがあり、トリプルビルの中では最も楽しめました。 しかし、約25分間袖に下がることなく、ほとんどポワント立ちで踊り続けるので、 それなりにスキルのあるダンサーが揃ってないと上演難しそうな作品です。

Steptext は Forsythe の作品ですが、観るのは初めて。 バレエの動きのイデオムを原形留めないほど脱構築という印象ある振付家ですが、この作品はさほどでもなく、 暗転など使わずに始まるオープニングと言い、断片的な音楽の使い方と言い、むしろの編集の妙。 赤いレオタードの女性ダンサー1名と黒いレオタードの男性ダンサー3名ですが、もちろん、男女の物語のようなナラティブは感じさせません。 男女くんでの動きにおいて、腰でサポートするというより、両手を組んでの動きを多用。 女性ダンサーが大柄だったせいか、ハンド・トゥ・ハンドのアクロバットを見ているようと感じる時もあり、その力強さが良かった。

Marce Cunningham の Sounddance も観るのは初めて。 David Tudor の電子ノイズな音楽は定位を動かすような工夫もあったのですが、背景の布にダンサーの衣装の色が被ってしまい、視覚的にも聴覚的にも単調。 DevotedSteptext で集中が切れてしまったか、 作品を掴みかねてしまいました。

衒いを感じさせないオーソドックスなコンテンポラリー作品からなるバレエ公演でしたが、こういう公演も良いものです。