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Review: Mathurin Bolze / Cie MBTA: La Marche / Ali @ KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2018/09/28
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2018/09/22, 15:00-16:00.
La marche
De et avec Mathurin Bolze
Régie générale, son: Jérôme Fèvre; Mise en lumière: Jérémie Cusenier
Creation 2015
Ali
De et avec Mathurin Bolze et Hèdi Thabet
Régie générale, son: Jérôme Fèvre; Lumière: Ana Samoilovich.
Creation 2008

Mathurin Bolze は1990年代半ばから主に現代サーカスの文脈で活動し、2001年に自身のカンパニー Cie MPTA を主宰する、フランス・リヨンを拠点とするサーカス・アーティスト。 観るのは初めてで、ほとんど予備知識無しで観ましたが、アクロバティックな技を駆使しながらも、力みを感じさせない、静かな美しさのある2作品が楽しめました。

最初の La Marche は人間大の回し車を使った作品。 回し車の中で、静かに歩く、小走りで走り、時に回転に身を任せるように、時にシルホイールのようにダイナミックに。 ライティングも控えめに、 Eric Satie の Gnossienne No. 1 に歩行に関するテキスト (Frédéric Gros: Introduction à la petite bibliothèqur du marcheur から採られているとのこと) の朗読を乗せた音楽も淡々。 後半は輪の中に椅子を固定し、さらに動きに変化を加え、 下から輪のスリット越しのライティングを使い、視覚的にもより幻想的に。 変化を付けながらも大技で盛り上げるようなことはしない演出も良かった。

次に上演した Ali は、18歳の時に癌で左脚を失ったという Hèdi Thabet とのデュオ。 道具としては上腕固定型の杖 (ロフストランドクラッチの杖) は使うが La Marche の回し車のような装置は使わず。 時にアクロバティックに、時にマーシャルに、又は、二人三脚となって静かにユーモラスに。 全体としては淡々とした動きながら、片脚の Thabet が Bolze をリフトしたりマーシャルな投げ技の動きをしたりと、片脚でもここまで動けるのかと見応えある場面もありました。