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Review: Yang Liping Contemporary Dance: Under Siege @ オーチャードホール (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2019/02/24
オーチャードホール (渋谷)
2019/02/24, 12:30-15:00.
Chief choreographer, artistic director: Yang Liping; Production, visual director, costume and set design: Tim Yip; Stage installation: Beili Liu.
Creation: 2016.

中国雲南省大理出身で白 (ペー) 族というバックグラウンドを持ち Peacock Dance 『孔雀の精霊』で知られる ダンサー/振付家/演出家の 楊麗萍 (Yang Liping)。 日本にも度々来日していたものの、観たことはなかったのですが、 2016年の Sadler's Wells での公演が 少々気になっていたので、思い立って観てみました。

中国古代、秦王朝滅亡後の項羽と劉邦の戦いを舞台化したもの。 チャイニーズ・オペラやカンフーの身体語彙を使ったコンテンポラリーダンスというより、 カンフーの身体語彙やコンテンポラリーダンスの演出テクニックを使ってアップデートしたチャイニーズ・オペラ、と言った方が良い作品でした。 かなり物語性が強い作品なのですが、音楽の使い方や動きが、自分にとっては説明的に過ぎて、 2時間半は逆に少々退屈に感じられてしまいました。 大量に吊るされてた銀色に光る金属製の鋏を上下に動かしたり、 最後の場面で床一面に赤い羽根を敷き詰めて巻き上げながら踊ったりと、 視覚的に非常に豪華で、写真映えしそうな舞台美術は圧巻でしたし、 カンフー的なイデオムを多用した力強い動きなどダンサーの身体能力の高さも感じられましたが、 それも心に響きませんでした。

楊麗萍 はカーテンコールに登場しただけでなく、開演直前にも挨拶というほどではないものの客席内を通って行きましたが、出演は無し。 このような作風のカンパニーということであれば、楊麗萍が出演するより伝統色濃い作品の方が楽しめたかもしれません。