戦後1950年代にフォトコラージュ作家として活動した 岡上 淑子 の回顧展です。 Max Ernst の銅版画コラージュを写真に置き換えたかのような作風のコラージュ作品は美術館常設展示などで観たことがありましたが、まとめて観るのは初めてでした。 文化学院デザイン科在学中の1950年に課題をきっかけにフォトコラージュを制作するようになり、 その後、瀧口 修造 に見出されて、彼から Max Ernst を教わり影響を受けるようになったとのこと。 Max Ernst を知る以前、初期の作品は背景に写真を使っておらず、むしろコンポジション的なセンスで見せる作品でした。 1955年頃から写真を撮るようになり、1957年の結婚を機にフォトコラージュの制作を止てしまいます。 それどころか、発表を目的とはしないスケッチを描いたり、新聞連載等に挿絵を依頼されることはあったものの、 作家活動をほどんど止めてしまいます。
豪奢な Art Deco の展示空間に、彼女が制作したのと同じ1950年代のドレスも参考展示されていたこともあり、 作品からはシュルレアリスト的な禍々しさよりもお洒落さが先立つように感じられたのですが、 Time や Life のような報道写真雑誌から背景などが採られることも多いですが、 特に女性の人物像は Vogue や Harper’s Bazaar などのファッション雑誌から採られていたということもあるでしょう。 日本人の人物像や風景がほとんど使われないという点も含め、終戦直後の欧米の憧れという視点もあったのかもしれません。