1990年代にH・アール・カオスで活動し、2000年代以降、振付家としても活動、 スポーツ・コレオグラフィなども手がける 平山 素子 の2015年作品の再制作です。 日本のコンテンポラリーダンスはつい優先度をさげて見逃しがちなので、ふと思い立って観てきました。 「平山素子、シェイクスピアを踊る。」というフライヤでも謳っていますが、物語るような作品ではなく、 Shakespeare の様々な戯曲の断片に着想したスケッチを繋いでいくような作品でした。 といっても、自分もさほど Shakespeare に親しんでいるわけでなく、わかりやすく登場人物を演じることもなかったので、ネタがわかるという程でもなく、 これは Hamlet かな、これは King Lear かなと思いつつ観ていました。
暗めの舞台で、舞台装置は巨大な方形の白い紙を四隅にワイヤーを付けて天井から吊るしたもののみ。 上下させるだけでなく少々弛ませたり舞台の背景になるように立てたりと動かしながら、 ライティングで色合いも変化させて、場面を作っていくのは面白かった。 動きは体操的というかかなりマーシャルと感じさせるものがありました。 コンテンポラリーダンスではマーシャルな身体語彙はよく使われますが、鋭さ力強さだけでなくユーモラスに感じさせる所も織り込んでいました。
そんな所は良かったのですが、それだけに、音楽使いが引っかかってしまいました。 生演奏ではなく録音が使われていたのですが、Sephardi 風や Arab 風の歌が入ったり、 electronica だったり、Orchestra で盛り上げるような曲になったり。 場面に合わせて曲を選び過ぎて、かえって説明的に感じられてしまいました。 舞台装置をミニマルに抑えていただけに、音楽が過剰に感じられてしまいました。 特にこの作品に限らない話ですが、音楽に録音を用いると、ミュージシャンや楽器の制約が無くなって、えてして何でもありになってしまう。 そんなことが頭を過ぎった作品でした。