Camille Henrot はフランス生まれながらニューヨークを拠点に活動する現代美術作家です。 2000年代以降に作品を発表するようになり、2010年代に入って国際的に注目されるなった作家ですが、 作品を観るのはこの展覧会が初めてです。 映像作品も多く作っているようですが、この展覧会では、コンセプチャルなインスタレーションをメインに据えた展覧会でした。
コンセプトに合わせて作風を大きく変えているようで、作家としてのこだわりのポイントが掴めず、展覧会としてはピンとくるものがありませんでした。 しかし、草月流いけばなに影響受けたという書物に着想したいけばなインスタレーション・シリーズ Is it possible to be a revolutionary and like flowers? (2012/2014/2019) は、 着想元の書物やテキストに対して説明的ではなく、むしろそのズレも含めて楽しめました。
The Pale Fox (2014) は、 青い部屋のビジュアル的な強さもある、半ば謎解きがかった読み解きインスタレーション。 隣室で上映された Smithonian Institute での Artist Research Fellowship プログラムで製作したという 博物館に取材したビデオ作品 Grosse Fatige (2013) とも共通するような、 博物学的な「脅威の部屋」的なセンスを感じましたが、 読み解きに引き込まれるようなフックに欠けました。 というか、自分の現在の興味とうまく噛み合いませんでした。
And now for something completely different...
同時開催の収蔵品展は 李 禹煥 『版との対話』。 リトグラフ、シルクスクリーン、ドライポイントなど。モノクロのミニマルな世界を堪能することができました。