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Review: 新国立劇場バレエ団 『DANCE to the Future 2020』よりコンポジション・プロジェクトによる作品 [The National Ballet of Japan: DANCE to the Future 2020 - Works from the Composition Project] @ 新国立劇場 小劇場 (バレエ / live streaming)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/03/29
『DANCE to the Future 2020』よりコンポジション・プロジェクトによる作品
The National Ballet of Japan: DANCE to the Future 2020 - Works from the Composition Project
新国立劇場小劇場 / streaming via YouTube
2020/03/28, 15:00-16:00.
構成・振付・出演: 新国立劇場バレエ団 コレオグラフィック・グループ [Choreograhic Group, The National Ballet of Japan]
アドヴァイザー [Production Advisor]: 遠藤 康行 [ENDO Yasuyuki]. 音楽 [Music]: 平本 正宏 [HIRAMOTO Masahiro]. 芸術監督 [Artistic Director]: 大原 永子 [OHARA Noriko]. 制作 [Produced by]: 新国立劇場 [New National Theatre, Tokyo].
『〇 ~wa~』
グループDO/動 [Group DO]: 渡邊 峻郁 [WATANABE Takafumi], 木村 優里 [KIMURA Yuri], 益田 裕子 [MASUDA Yuko], 稲村 志穂里 [INAMURA Shiori], 太田 寛仁 [OTA Kanjin], 関 優奈 [SEKI Yuna], 徳永 比奈子 [TOKUNAGA Hinako], 中島 春菜 [NAKAJIMA Haruna], 中島 瑞生 [NAKAJIMA Mizuki], 原田 舞子 [HARADA Maiko], 廣川 みくり [HIROKAWA Mikuri], 渡部 義紀 [WATABE Yoshiki], 伊東 真梨乃 [ITO Marino].
『A to THE』
グループZA/座 [Group ZA]: 柴山 紗帆 [SHIBAYAMA Saho], 飯野 萌子 [IINO Moeko], 広瀬 碧 [HIROSE Aoi], 福田 紘也 [FUKUDA Hiroya], 益田 裕子 [MASUDA Yuko], 赤井 綾乃 [AKAI Ayano], 太田 寛仁 [OTA Kanjin],関 晶帆 [SEKI Akiho], 仲村 啓 [NAKAMURA Satoshi], 西川 慶 [NISHIKAWA Kei], 原田 舞子 [HARADA Maiko], 樋口 響 [HIGUCHI Hibiki], 廣川 みくり [HIROKAWA Mikuri], 横山 柊子 [YOKOYAMA Toko].

新国立劇場バレエ団のダンサーたちの振付によるコンテンポラリー・ダンス作品からなるアニュアルの公演です。 今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため公演はキャンセルとなったのですが、 第3部にあたるコンポジション・プロジェクトによる作品2作品が無観客上演のライブストリーミングされました。 コンポジション・プロジェクトとは、ダンサー同志がアイディアを出し合いながらワークショップを重ねて作品を創作する企画とのことです。

最初に上演した『〇 ~wa~』は、ビートのある electronic な音楽を使った抽象的な作品。 ビートのある音楽を使っているのに、身体をコントロールし過ぎて、こじんまりとしてしまった感も。 照明が薄暗くコントラストも弱く、画面を通して見るとますますぼんやりとした印象となってしまいました。

15分の休憩を挟んで続いて上演した『A to THE』は、照明のメリハリが感じられて、画面を通して観ても観やすなりました。 カメラの感度を調整したのかもしれませんが、 横からの強いライティングで暗い背景にダンサーを浮かび上がらせたり、最後の場面で背景を光らせてシルエットを見せたり、 ダウンライトで区画を作るときも斜めだったり奥行き方向だったりと、照明での演出に色々工夫を感じました。 照明だけでなく動きについても、動と静、多様性と同調性の間の変化にもメリハリが感じられました。 特に、様々なポーズで横一列に連なる場面とその前後の動きの構成など。 全体的な展開についても、抽象的な作品ながら、中程と最後に短めの物語性をほのめかす場面を入るなど、 平板にしない工夫が感じられました。 そんなこともあって、『A to THEの方』が楽しめました。

ストリーミングの配信には YouTube と Facebook を使っていましたが、 負荷が集中して途切れてしまうことが若干ありました。それも仕方ないでしょうか。 YouTube ではライブストリーミング終了後も観られるようになっていますが、そのままアーカイブとして公開し続けて欲しいものです。 ライブストリーミングのノウハウ、経験がほとんど無いと思われる中、目立つトラブルはありませんでした。 Royal Opera House Cinema や Metropolitan Opera Live in HD に比べると、 カメラのスイッチングやアップが少々多すぎるように感じられましたが、続けるうちに洗練されるのではないかと思います。 権利上の約もあってライブストリーミングに乗せることができる公演も限られているかと思いますが、今後もこういう試みを続けて欲しいものです。