COVID-19感染拡大のため2月末頃から首都圏の美術館は閉館になってしまっていたのですが、 5月25日の非常事態措置の解除に伴い、再開の動きがあります。 まだ開いている所は多くないのですが、そんな中で再開したこの美術館へ行ってきました。
1970年前後に写真同人誌『provoke』参加し「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる作風で 街中、特に歓楽街をスナップショットで捉えた写真で知られる 森山 大道 の、主に2010年代以降の作品による展覧会です。 正直に言えば作風はあまり好みではないのですが、それでも、最初のギャラリーに展示された コントラスト強く粒子の粗い大判のプリントは、その質感に強い印象を受けます。 多くの写真をぎっしり並べた『ongoing』は一枚一枚の印象が薄れてしまうものでしたが、 そんな中では、東京芸術劇場前池袋西口広場でのヘブンアーティスト (大道芸) を撮ったものに目が止まりました。 モノクロで切り取られてこの文脈で並べられることでのいつも観ている印象との違い (アングラ的な雰囲気が強調される) もあって、意外さを感じました。
資生堂の文化誌『花椿』の編集者 林 央子 氏の監修による。
ファッション写真の展覧会というより、写真というメディアを使いつつも、
少数部発行の雑誌などをベースしたインデペンデントなビジネス/ライフスタイルや
コンセプチャルな制作に焦点を当てたような展覧会でした。
現代アートもそうでしたが、90年代以降、表現の重心が造形からコンテクストに大きく振れたことを、
この写真とファッションの展示も反映しているように感じました。
今の自分の興味からは若干すれ違った感もありましたが、
1990年代以降のこのような動きはほとんどフォローしていなかったのでキーパーソンを知ることができたのは良かったでしょうか。