日本の現代のアート作品を「古典」の美術品と組み合わせて展示するグループ展です。 と言っても、日本の美術における「古典」とは何なのか、ここに並んでいる古美術品が「古典」であると主張したいのか、 単に「古の」くらいの意味で「古典」と言っているのか、釈然としない企画です。 時代的な文脈の異なるものの並置の妙を感じたわけではなく、 むしろ、現代アートの作品のコンセプト資料として「古典」が展示されていると感じるものもありました。 しかし、そういった企画の意図に関する引っ掛かりとは別に、興味深く観られた作品はありました。
菅 木志雄 『縁空』 (2020) は、十数センチ大の石を一辺数メートルの正方形の枠状 (数カ所に枠内外の切れ目あり) に床に並べた作品です。 その枠の頭上にロープで吊るした3個の石を不規則に配することで、単なる床の結界ではなく、立体的な空間の広がりを饒舌ではなくさりげなく表現していました。 このようなミニマリズムはとても好みです。
田根 剛 『光りと祈り』 (2020) は、 西明寺 (滋賀県, 天台宗) に伝わる金箔張りの鎌倉時代の仏像1対、日光菩薩、月光菩薩を使ったインスタレーション作品です。 壁を黒塗りとし部屋照明を落とした真っ暗なギャラリーを使い、 ガラスケースにいれられた二体の仏像の周囲で、 上方への光を遮断する傘付きのペンダントライトを上下させると、 仏像の周りで闇の帳を上下させているよう。 鈍く光る仏像も、そんな光の演出を際立たせていました。 舞台作品の照明演出とかにも使えそう、と思ってしまいました。 (どこかで観たことがあるような気もしましたが。)