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Review: Félix Dufour-Laperrière: Ville Neuve 『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/10/03
『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』
2018 / Unité Centrale(Canada) / noir et blanc / DCP / 76min
un film de Félix Dufour-Laperrière
avec les voix de Robert Lalonde, Johanne-Marie Tremblay, Théodore Pellerin, Gildor Roy
Animation: Hyun Jin Park, Jens Hahn, Philip Lockerby, Malcolm Sutherland, Nicolas Brault, Bogdan Anifrani et Félix Dufour-Laperrière.
Musique: Jean L'Appeau.
Produit par Galilé Marion-Gauvin.

Raymond Carver の短編 Chef's House 『シェフの家』 (1981) に着想したという、 カナダ・ケベックのアニメーション作家による墨による手書きの絵によるアニメーション映画です。 Carver の短編はいくつか読んだことはありますが『シェフの家』は無く、 むしろ、墨で書かれた淡いタッチの絵に惹かれて観ました。

元妻のとの思い出の地に越してした男 Joseph は、元妻 Emma を呼び、再出発しようとする。 そんな話を、1995年ケベック独立住民投票を背景に、モノトーンの絵で淡々と描きます。 アニメーション表現はリアリズム的では無く幻想的。 ケベック独立住民投票も登場人物が主体的に関わるというより物語の背景で、 かつ、その結果は僅差での否決から僅差での可決に変えられていました。 諦観しているというより過去を引きずっているというところに感傷を感じました。

成人した子がいる50歳前後の男女ということで情熱的な関係では無く、 その描写にモノトーンの淡々とした絵が合っていました。 しかし、控えめながらふっと官能的というか人肌恋しさみたいなことを感じさせる描写 (例えば、Emma が来たばかりの頃に台所でさりげなく伸ばした Joseph の手から Emma が手を引く場面や、海水浴での場面) もあって、 そんなささやかな感覚も感じられる映画でした。