Oratorio in three parts
for soloists, choir and orchestra by
George Frideric Handel [Georg Mriedrich Händel] (HWV 56)
arranged by Wolfgang Amadeus Mozart (K. 572)
Haus für Mozart, Salzburg
23,26 January 2020.
Stage Director, Set & Lighting Designer:
Robert Wilson
Costume Designer: Carlos Soto;
Co-Stage Director: Nicola Panzer;
Co-Set Designer: Stephanie Engeln;
Co-Lighting Designer:John Torres;
Video Designer: Tomasz Jeziorski;
Make-up Designer: Manuela Halligan;
Dramaturg: Konrad Kuhn
Elena Tsallagova (soprano),
Wiebke Kehmkuhl (alto),
Richard Croft (tenor),
José Coca Loza (bass).
Alexis Fousekis (dancer),
Max Harris (Old Man),
Leopoldine Richards (a child).
Les Musiciens du Louvre;
Conductor: Marc Minkowski.
Philharmonia Chor Wien;
Chorus Master: Walter Zeh.
Video Director
Tiziano Mancini
Premiere: 23 January 2020, Haus für Mozart, Mozartwoche Salzburg.
en pertenariat avec le Théâtre de la Ville.
Captation produite par la Companie des Indes, Gildas le Roux;
Réalisation: Stéphane Pinot.
Handel が1741年に書き上げた oratorio (聖譚曲) を
Robert Wilson が3幕物の舞台作品化したものです。
2020年1月にザルツブルグの Mozartwoche (モーツァルト週間) で初演された際の映像がDVD/BDでリリースされていますが、
同じ映像がNHKオンデマンドで日本語字幕付きでストリーミングされたので、
Robert Wilson がどのように舞台作品化したのかという興味で、観ました。
キリスト教の聖書から歌詞を取って歌曲化されたもので、聖書中の救世主に関する預言という意味では物語的なものはあるのですが、オペラというほどドラマチックな物語ではありません。
そんな聖書のエピソードを抽象的に象徴するかのような宗教的敬虔を感じるような場面もありましたが、
むしろ、どうしてこの歌詞で、この舞台、と感じることの方が多く感じられました。
光の枠を作り背景に抽象性の高い動画を投影するミニマリスティックな美術、
青白い光と陰影を駆使した光の演出、
そして、何より歌手4人、コーラスの他に3人の黙役も使い、何かの役を演じるというより、何かを象徴するかのような様式的な動きは、
いかにも Robert Wilson らしいと感じる舞台でした。
しかし、歌詞のその舞台上のイメージの関係、Wilson の演出意図を掴みそこねたせいか、
René Magritte の絵のような不条理なユーモアを感じることも多々ありました。
特に第1幕は、ダンサー扮する太い毛で覆われたような妖怪 (ブルガリアのクケリ [кукер] を思わせる) と黙役の少女の掛け合いも可愛らしくて面白かったですし、
第1幕ラストの soprano のソロでコップとビッチャーで水遊びしながら、最後は自ら水を頭にかけながら歌うなど、かなり不条理に感じられました。
bass の男性も、白の三揃えに蝶ネクタイで、まるで20世紀中頃までのポピュラー歌手かのように、拍子に合わせて軽くステップを踏みながら歌ったり。
そんな、oratorio のイメージとすぐに繋がらないような演出に、不条理なユーモアを感じました。