TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 瀬戸 正人 『記憶の地図』 @ 東京都写真美術館 (写真展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/12/29
Seto Masato: Maps of Memory
東京都写真美術館 2F
2020/12/01-2021/01/24 (月休;1/11開,1/12休;12/29-1/1休). 10:00-18:00.

日本人の父とベトナム人の母を持ちタイ生まれというバックグラウンドを持つ、1980年代から活動する写真家の個展です。 台湾西施を撮った “Binran” シリーズをグループ展で観た記憶があるものの、こうしてまとめて観るのは初めてです。 ポートレート写真にしてはぼんやりした表情の女性のアップの白背景の白黒写真のシリーズ “Silent Mode 2020” などは、 同じような構図の写真が多く並べられることにより、タイポロジー的な面白さも感じました。 “Binran” シリーズも似たような点もあるのですが、構図の統一感は緩く、どぎつい色の画面もあって、少々ノイジーに感じられてしまいました。 しかし、人物を撮った写真がメインで、自分は、どうも、人物を撮った写真が苦手かもしれないと思い至ってしまったりもしました。

東京都写真美術館3Fでは 『日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る』 (2020/12/01-2021/01/24)。 東京都写真美術館鉄板の写真黎明期に焦点を当てたコレクション展示です。 新興写真以前、絵画主義の時代だと意識して観ていたのですが、 手彩色された日下部金兵衛《芦ノ湖「箱根」アルバムより》(明治中期頃) などを見ていると、 カラー化鮮明化されたものを観ると、意外とモダンな構図で撮られているように感じられてました。

B1Fでは 『138億光年 宇宙の旅』 (2020/11/21-2021/01/24)。 宇宙観測による画像、映像の展覧会です。 habblesite.org でお馴染みの画像もありましたし、科学的な興味を満たすという観点では書籍などに劣る面もありますが、 大判で高精細の画像、映像による迫力に寄り切られた感もあった展覧会でした。