1960年代に資生堂のアートディレクターとして活動を始め、1970年代はパルコなどの広告を手掛けて、 女性アートディレクターの草分けとして知られ、 1980年にニューヨークに拠点を移して以降は、映画やオペラ、音楽コンサートやサーカスなどの舞台衣装のデザインを多く手掛けてきた 石岡 瑛子 (1938-2012) の回顧展です。
1980年頃までの広告の仕事には、彼女の作風というより日本、そして日本の広告クリエイティヴに感じられた1960s-70sの勢いを見るようでした。 そして、1980年代以降の舞台衣装デザイン等の仕事は、色彩のはっきりした造形的な作風は自分の好みでは無いようにも感じましたが、パワフルでゴージャスな仕事ぶりに圧倒されました。 そして、このような仕事はニューヨークに拠点を移したからこそ可能だったのでしょう。 日本では、バブル崩壊後の長期のデフレ経済低迷で、広告にしても舞台にしても彼女のような作風の才能が活躍できる場は多くなかったような。 そんなことも考えさせられてしまった展覧会でした。
東京都現代美術館のアニュアルのグループ展です。 テーマが腑に落ちたという程では無いのですが、興味深い作家の作品を観ることはできました。 片岡 純也 + 岩竹 理恵 は今までもグループ展で度々観る機会がありましたが、 特に何かの機能を果たすことなく動き続ける「無用な機械」を思わせる作品は好みです。
清水 陽子 の生きた植物をそのままメディアにするような作品も、 この手の素材を扱うとエコロジー的なコンセプトなどに走りがちな中で、 もっと即物的なアプローチで、あくまで植物やDNAなどをメディアとして見据えている所に、 メディアアートに近いセンスが感じられました。
企画展は1月2日からやっていたのですが、 『MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す』は、 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、12日まで臨時休室になっていました。これは仕方ありません。