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Review: Ballet de l'Opéra national de Paris, Alexander Ekman (chor.): Play 『プレイ』 @ Palais Garnier, L'Opéra national de Paris (バレエ / event cinema)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2022/02/13
『プレイ』
Palais Garnier, L'Opéra national de Paris, 2017-12.
Chorégraphie, décors et costumes: Alexander Ekman
Musique: Mikael Karlsson
Costumes: Xavier Ronze; Lumières: Tom Visser; Vidéaste: T.M. Rives; Assistante du chorégraphe: Ana Maria Lucaciu; Conseillère stratégique et dramaturge: Carina Nildalen; Assistante aux décors: Claire Puyenchet.
avec: Stéphane Bullion (danseur étoile), Muriel Zusperreguy (première danseuse), Vincent Chaillet (premier danseur), et le Corps de Ballet de l’Opéra national de Paris.
Calesta «Callie» Day (chanteuse gospel), Frédéric Vaysse Knitter (piano), Amanda Favier (premier violon) Pauline Fritsch (second violon), Benoît Marin (alto), Eric Villeminey (violoncelle), François Gavelle (contrebasse), Christian Wirth (saxophone soprano), Géraud Etrillard (saxophone alto), Adrien Lajoumard (saxophone ténor), Pascal Bonnet (saxophone baryton), Adélaïde Ferrière (percussions).
Première : 6 décembre 2017, Palais Garnier, L'Opéra national de Paris.
Réalisation : Tommy Pascal.
上映: 東劇, 2022-02-11.

コンテンポラリーダンスの文脈でも活動するスウェーデンの振付家 Alexander Ekman が Ballet de l'Opéra national de Paris (パリ・オペラ座バレエ団) に振付た新作バレエです。 2018年に NHK BS プレミアムシアターでも放送されていて、 BelAir Classics の DVD/Blu-ray もリリースされていますが、 『パリ・オペラ座バレエ シネマ』の中の一作品として映画館上映されたので、大画面で観るのも良いだろうと観てきました。 コンテンポラリー演目の上映/上演を応援したい、というのもありますが。

音楽にはオーケストラは用いず、pop なものではないものの、 オープニングからして saxophone quartet だったり、gospel な歌だったりと、jazz のイデオムが強いもの。 オペラ座を遊び場にしたような作品とも言われますが、 前半は、白いスポーツウェアを思わせる衣装によるダンスに、 アポロ11号月面着陸時の宇宙飛行士のような宇宙服姿や、風船を被ったかのようなダンサー、 鹿のツノのように2対の枝をはやしたフェイスガード無しのアイスホッケー・ヘルメットを被った女性ダンサーたちの群舞。 宇宙服姿などその意図を掴み兼ねましたが、ナンセンスに近い不条理なのかもしれません。 前半ラスト、大量の緑のボールが降り注ぎ、舞台を埋め尽くし、ダンサーたちがそれに戯れます。

後半は、衣装は白のスポーツウェアからうって変わって暗いグレーのセミフォーマルに近いシンプルで落ち着いた服装になります。 オーケストラピットに落とした緑のボールの深みの中でザッザッと音を立てながら男性ダンサーたちが踊る場面、 ダンサーたちが灯ったキャンドルを持って静かな動き、 そして、前半までほとんど宙吊りだった一片1.5mはあろう30個近い白い箱を整然と並べてのその周りでのダンスなど。 後半の方が視覚的に美しくて、好みでした。 ラスト近く、主役級の男性ダンサーがグレーの服を脱ぐ場面で、再び前半の世界に戻るよう。 そして、一旦幕が降りた後のフィナーレは、客席にバルーンやボールを投げ入れてのサーカス風でした。

家でNHKオンデマンド (BS プレミアムシアター) で観た時は、前半のシュールな場面の意図を掴みかね、後半緊張が切れたか、ピンときませんでしが。 しかし、映画館で大画面で観ると、没入感もあってか、期待以上に楽しむことができました。 家で DVD/Blu-ray やストリーミングで観る手軽さや観られる作品の多さ (特に人気があまり無いコンテンポラリー作品) も良いのですが、 やはり、映画館での上映で観るのは良いものです。 もちろん、実際の上演で観られたら、それがベストなのですが……。