毎年楽しみにしている 座・高円寺 のフェスティバル『世界をみよう!』。 人形劇、マイムやサーカスなどセリフに依らず親子で楽しめる小規模な舞台作品を国内外から集め、毎年7月に開催されています。 COVID-19の影響で2020年以降、海外アーティストの招聘ができなかったのですが、 今年は2020年に予定していたラインナップで開催されたので、以下の2つのを観ました。
Théâtre Sans Toit は人形劇もバックグラウンドに持つカンパニーですが、 Cubix は、 1辺10〜15cm程の白いキューブを30〜40個を2人で操り、 それを並べたり、積み上げたり、時々キューブの組み合わせで生き物を演じて見せるという、 シンプルなアイデアのキューブブロック遊びというか「人形」劇というかオブジェクト・マニピュレーションの作品でした。 しかし、超短焦点プロジェクタを使っての客席後方からではなく舞台上方からキューブへのプロジェクションマッピング使いや、 投影された映像やブロックの動きの組み合わせ、 音楽などは使わないのですが動きに合わせてのポイント押さえたサラウンド音響使いが、 それらが主役とならない程度にキューブを動かす様子を楽しむという核の部分を生かして拡張するよう。 そんなプロジェクマッピングやサラウンド音響の絶妙な使い方も楽しめました。
Compagnie Libertivore は Fanny Soriano 主宰のフランスの現代サーカス・カンパニーです。 Phasmes フランスの (女性はカンポジア出身ですが) ハンド・トゥ・ハンドのアクロバットをバックグラウンドに持つ男女デュオによる作品です。 といっても、ハンド・トゥ・ハンドの技も使うときもありますが、その技を見せるための作品ではありません。 半径 5〜10 m ほどの円形に、枯落葉が疎に、しかし、一箇所だけ小さな山になるように撒かれたフロアの上、 暗めの照明の下、電子音や打楽器音、ノイジーなエレクトリックギターからなるような音楽を使い、 虫のような小動物のような異形の動きをアクロバット技も使ってみせました。 タイトルからあまり早くないグニャグニャした動きを想像していたのですが、 ゆっくりとした動きも使いましたが、くみ転がったり、飛び付き放り投げたり、駆け回り転がったりと、 格闘するかのようなダイナミックも印象に残りました。
どちらも、ナラティブというより抽象度の高い作品でしたが、約30分という長さもちょうど良く、引き込まれました。 こういう小規模な作品は息遣いも感じられる生の舞台の方が楽しいとも実感しました。
『世界をみよう!』の海外招聘はもう1組、Teater Blik: Hov! 『ワォ!』(シアター・ブリック/デンマーク) があったのですが、 公演関係者にCOVID-19陽性者が出てしまい、土日の公演が中止になってしまいました。残念。 やはり、第7波の感染拡大状況下での公演は困難が伴います。