TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: 『見るは触れる 日本の新進作家 vol. 19』 @ 東京都写真美術館 (写真展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2022/09/18
Seeing as though touching - Contemporary Japanese Photography vol. 19
東京都写真美術館 3F
2022/09/02-2022/12/11 (月休; 月祝開, 翌火休). 10:00-18:00 (木金-20:00)
水木 塁 [Mizuki Rui], 澤田 華 [Sawada Hana], 多和田 有希 [Tawada Yuki], 永田 康祐 [Nagata Kosuke], 岩井 優 [Iwai Masaru].

日本の新進の作家によるアニュアルのグループ展です。 今回はタイトルが暗示するように、写真や映像の作品というより、立体作品やインスタレーション作品の主要な要素として写真や映像を使う現代美術作品と言った方がふさわしい作品の作家が集められていました。

中でも印象に残ったのは、多和田有希の写真の一部を燃やし出した作品。 プリントされた写真の非物質的なイメージではなく物質性が際立つというのもありますが、 インスタレーション《I am in You》で使われた波で泡立つ海の写真の、 焼き抜かれた泡ではない部分のすけ具合と、それが作り出すそのネガ的なシルエットの組み合わせが、 コントラストになっているだけでなく、視覚的にとても美しく感じられました。

永田 康祐 の展示はヘッドフォンで流れるガイドを聴きながら鑑賞する展示で、 正直に言えばとっつきは少々煩わしく感じられました。 しかし、背景にあるアルゴリズムに着想した作品が多く、その作風に合っていたでしょうか。 Adobe Photoshop の「スポット修復ブラシツール」の機能を 元の写真が全て塗り潰されるよう全面に適用した 《Theseus》シリーズの既存の写真のコラージュのような画面も良いですし、 三目並べと同型写像で変換可能なナンバースクラブルを繋いで対戦可能とした《三目並べと数字ゲーム》も面白く感じられました。